トピック3:「首・耳の後ろ」を意識して洗うことでダニを近づけない効果も!
本調査で、「お風呂で首の後ろや、耳の後ろを意識して洗えているか」を調査した結果、全体の約半数は、首・耳の後ろ両方を意識して洗えていない、という結果がわかった。ダニ対策と直接関係がないように思われるが、首や耳の後ろから出る分泌物「ノナナール」や「パルミチン酸」にチリダニ類が誘引され、枕周辺に集まりフンをする。そのため、「首・耳の後ろ」を意識して洗うこともダニ対策として有効だ。
【島野先生コメント】
シーツ、掛け布団カバー、枕カバー、敷布団、掛布団、枕表面のダニ数を比べると枕カバーや枕のダニ数は多い傾向です。ヒトからの分泌物であるノナナールやパルミチン酸にチリダニ類が誘引され、枕周辺に集まってくるためです。ノナナールやパルミチン酸は、ヒトの首の後ろなどから多く出ているため、枕カバーの洗濯をこまめに行っていたとしても、首・耳の後ろを意識して洗えていないとダニが誘引されて枕のダニは増える可能性が高くなります。
トピック4:本当にダニ対策が必要なのは“春”! 桜前線のあとは「ダニ前線」?
「特にダニ対策が必要な季節はいつだと思いますか」の質問に対し、全体の約半数が「夏」と回答。しかし、春はすでにダニの繁殖が始まるシーズンとなるため、「春」のダニ対策は非常に重要だ。
理由としては、春は厳しい冬に生き残った成虫が産んだ卵の孵化と、花粉シーズンで増える室内干しによる部屋のジメジメが重なり、ダニの活動が活発化するためだ。また、春にダニの数を減らすことで、夏に増えるダニの数も減らすことができる。
【島野先生コメント】
1年中ダニ対策は必須ですが、特に春はダニの繁殖期となるのでこの時期にしっかりと対策をしてダニの数を減らすことで、夏に増えるダニの数も減らすことができます。就寝中に、人間の動きなどで舞い上がった布団や枕のダニアレルゲン(フンや虫体)が空気中に漂っているものを吸い込んでいる場合があります。脱糞直後のフンは10~40μm(マイクロメートル/1mmの1/1000)でも、乾燥すると粉々になって数μmとなり軽いため空気中にただよいやすく、気管に入りやすくなります。
一方、虫体の脚や毛は取れやすいですが体の中央部分は粉々になりにくく、死骸でも1μg(マイクログラム/1mgの1/1000)以上はあるので空気中には浮きにくい特徴があります。さらに、フン量は虫体量よりも多く、1匹が1生に約500個フンをするため、空気中にただよっているアレルゲン量のほとんどはフン由来といえます。まずは、暖かくなりダニが活動し始めるころに増やさない対策をすることが重要です。フンのタンパク質のほうが虫体よりもヒトにアレルギー反応を起こしやすく寝ている間に鼻炎や喘息になりかねません。
寝具と寝室の正しいダニ・ダニアレルゲン対策とは?
ここで、島野氏が提案する「寝具と寝室のダニ・ダニアレルゲン対策」ついて紹介する。
●天日干しだけではダニ対策になっていない?
天日干しをしたたけでは、ダニが死滅することはありません。洗濯をするとシーツや枕カバーのダニやアレルゲン*の9割以上は落ちます。布団や厚手のものの場合、フンは9割落ちますが、ダニ本体は2割程度しか落とすことができません。
*アレルギー症状を引き起こす原因となるもの。虫体やフンなどがアレルゲンとなります。
●枕にタオルを敷くは効果的!
生きているダニはタオルのような布地を好みフンをします。枕の上に大きなタオルを広げ、タオルのみを毎日交換することは有効です。
●掃除機はどのように使ったらいい?
羽毛布団と羊毛布団は側生地の目が細かくダニは布団内部に入りにくいので、布団表面のダニ数が100匹/m²以下、ダニのフン量が1000ng/m²以下になるように掃除機をかけるとよいでしょう。布団表面1m²を5分間ずつ2回かけると表面のダニのフン量は7割以上除去できますが、綿布団の場合は掃除機のみではアレルゲン除去は難しいので、年1~2回は丸洗いをするのをおすすめします。また、天日干しは繊維の空間を広げ、掃除機をより効率よく使用することができるので無駄ではありません。
●寝具の衣替え時の注意点!
圧縮袋での管理の際は乾燥剤を入れるとダニは乾燥死します。窒息死はしませんので注意が必要です。
●生きたまま捕獲することは有効!
市販されている「ダニ取りマット」を布団・枕などに入れて使用することも有効です。
●空気清浄機を枕元に置くのはOK、冬場の加湿器の湿度には注意が必要?
空気清浄機を枕元近くに置くと、空気中に漂っているダニのフンが吸引されるので置く場所に気を付けることも大切です。また、インフルエンザ対策として湿度を60%以上に保つことが推奨されておりますが、ダニは湿度60%で増えてしまいますので、過度に湿度を上げすぎないように気を付けましょう。
●アレルギー疾患が気になる人は?
布団や枕カバーに高密度繊維を用いるのもおすすめです。ダニが繊維を通過できないので表面にいるダニを簡単な掃除機掛けで表面のダニを除去できます。また、30cm以上の高さにあるベッドで寝ることも有効です。理由としては、空気中にただようダニアレルゲン(フン)などは床面まで落ちず、床上20cmくらいを浮遊する場合があるからです。
出典:朝倉書店 「ダニはなし―人間との関わり―」島野智之・高久 元(編)
<枕のダニ対策に関する調査概要>
調査名 :枕のダニ対策に関する調査
調査方法 :インターネット調査
調査地域 :全国
調査対象 :普段枕を使用する1,000名(20代〜60代の男女均等割り付け)
調査期間 :2024年3⽉8⽇(金)
調査主体 :株式会社イースマイル
出典元:株式会社イースマイル
構成/こじへい