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SNSで〝優勝〟が流行語になったのはなぜ?人々が「小さな優勝」を求める理由

2024.04.04

人生の中でそうそう訪れることのない〝至福の極み〟をぜひ何度か味わってみたいものだが、日常の中でコンスタントに得られる〝小さな幸せ〟もまたQOL(生活の質)的には軽視できない。

最新の投資家心理研究では我々はたまに訪れる〝至福の極み〟よりも、頻繁に味わえる〝小さな幸せ〟を好む傾向があることが報告されている。

コンスタントな〝小さな勝利〟が望まれている

スポーツ競技の大会であれ、各種のコンテストなどであれ、トップにのぼり詰めて優勝することは凡人にとって至難の業だろう。しかし興味深いことに少し前にこの「優勝」という言葉があたかも〝セール価格〟になったかのような現象が一部の若者たちの間で見られた。

ライバルたちと競って勝ち取った勝利ではなくとも、生活の中で味わった「最高!」や「ナイス!」と思える瞬間を〝優勝〟と表現する小さなムーブメントが特にSNSで散見されるようになったのだ。

たとえば「仕事終わりにビールと唐揚げで優勝!」や、「推しとのツーショットで優勝!」など、きわめて個人的なことや些細なことであっても適用されるこの「●●で優勝!」のフレーズは一部でちょっとした流行にもなり、三省堂の「今年の新語2020」の第6位にランクインしたほどである。

優勝という言葉のダンピングであり価格破壊と言えなくもない現象なのだが、日常の中の〝小さな幸せ〟を「優勝」と表現したくなる気持ちもわからなくはないことが最新の研究から示唆されている。我々はすぐには得られない大きな利益を狙うよりも、頻繁に得られる小さな利益を好む傾向が強いというのである。

スイス・バーゼル大学をはじめとする合同研究チームが2024年3月に「PNAS」で発表した研究では、投資家心理を分析した7つの研究を通じて、投資行動の傾向として時折高い利益が得られる投資よりも頻繁に収益が得られる投資を好むことが浮き彫りになっている。

株式投資のシミュレーション実験で参加者は、2つまたは3つの異なる銘柄のどれかを選択することを求められた。銘柄の1つは「低い確率で高収益」を提供するもので、別の1つは「高い確率で低水準の収益があり、まれではあるが潜在的に高い損失」を提供するものである。

また意思決定プロセスを支援するために、株式のパフォーマンスに関する情報、つまり特定の銘柄がいつ、どのような収益を生み出したかの情報が提供された。この情報により参加者は個々の銘柄からのリターンの量と頻度を詳しく調べることができる。

収集したデータを分析した結果、参加者には時間をかけた大きなリターンよりも、小さなリターンを頻繁に得るほうを好む強い傾向があることが突き止められた。この傾向は「頻繁な勝者効果(frequent winner effect)」と定義され、将来を見越した大きな収益を狙うよりも、コンスタントな〝小さな勝利〟を望んでいる傾向が示唆されることになった。

競い合った人々の頂点に立つ優勝という経験はかけがえのないライフイベントとなり得るが、わりと頻繁に訪れる〝小さな勝利〟や〝小さな幸せ〟もまた立派な「優勝」であったとしても不思議ではないのかもしれない。

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