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キリンの17年ぶりとなるスタンダードビールの新ブランド「晴れ風」が引き算の発想で生まれた理由

2024.04.01

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

入社5年目の若手ブリュワーによる時代を捉えた新ブランド

キリンビールとして、17年ぶりのスタンダードビール新ブランド(プレミアム・クラフト・販売先限定品・既存ブランド派生品を除く)「晴れ風」が、4月2日に新発売される。

「キリンビールは時代に合わせて様々なビールを生み出してまいりました。近年、ライフスタイルや価値観の変化などを背景に、お客様の考え方、行動基準は目まぐるしく変化をしています。

こんな時代だからこそ、今のお客様の思考や価値観を捉えた新しいビールをお届けしたいと、17年ぶりに誕生するスタンダードビールの新ブランドが『晴れ風』です。これからのキリンビールの新定番としてブランド育成に取り組んでまいります。

『晴れ風』を『一番絞り』に次ぐ第二の柱に成長すべく、初年度の販売目標数は約430万ケース、将来的にまずは『一番絞り』の缶に対して約半分の規模を目指していきたいと思っています」(キリンビール 代表取締役社長 堀口英樹氏)

狭義ビールが好調の一方で、消費者の嗜好変化などにより、ビール類カテゴリー全体については経年的に縮小傾向にある。

同社がビールを家庭で飲まない理由を調査したところ、価格や健康事由を除くと、「味が好

きではない」「苦味がありそう」など、味覚に関する回答が上位に挙がった。

加えて、20~30代の若年層においては、「自分向けという感じがしない」のスコアが高い傾向にあり、ビールを飲むこと自体が、自身とは関係ないものとして捉えられていることも分かった。

「晴れ風」はこうした現代の消費者の嗜好を捉えた、「ビールとしてのうまみや飲みごたえ」がありながら「飲みやすい」を両立させ、“ビールのきれいな味”が感じられるバランスの良い味わいを目指した。

「自由な発想で商品を作ってもらいたいと、若手のブリュワーに託した」(キリンビール マスターブリュワー 田山智広氏)と、入社5年目(開発当時)のキリンビール マーケティング部商品開発研究所 中味開発グループ東橋鴻介氏が中味開発を担当した。

「『晴れ風』は大きく3つのこだわりで“飲みやすさ”を実現しています。麦芽100%で麦の旨味、香り、甘さといった素材の良さをしっかりと引き出すというところに非常に注力しました。これによりコクをしっかり感じられながらも重すぎないというような味わいを目指しました。

ホップはキリンが生産者の支援から関わっている日本産の希少ホップ『IBUKI』を半分以上使っています。IBUKIは爽やかな柑橘の香りが特徴です。ホップの添加タイミングにもこだわって、奥ゆかしく穏やかに香るような設計にし、飲みやすい程度にホップの味わいを引き出しています。

味わいの部分にもこだわりました。ビールは酸味や苦味が非常に大事な要素で、それらが飲みごたえに伝わりますが、今回は仕込みや発酵の工程を工夫して、酸味や苦味を抑えた、穏やかで飲みやすい味わいを実現しました」(東橋氏)

「飲み応えと飲みやすさの両立とさらっと言っていますが、これがすごく難しい。我々キリンの醸造フィロソフィーではおいしさにポリシーを持っており、個性があって飲み飽きない味をどの商品でも追求しています。

飲み応えと飲みやすさはクラフトビールでも追求していますが、クラフトビールはいろいろな個性を出すことで飲み応えの方向に力点があります。『晴れ風』は飲みやすさを徹底的に追求してみようというコンセプトで、あまりビールを主張し過ぎないビールとでもいいましょうか、それでもストレートにど真ん中のおいしさを目指したビールなんです」(田山氏)

「晴れ風」の設計思想では、あえて引き算のようなイメージで、ビールの特徴を低くさせながらバランスを取ることで飲みやすさに振り切ったと東橋氏は話す。開発中に東橋氏による試作品の最初のテイスティングで田山氏はこう感じたという。

「最初に期待を込めていくつも並べてテイスティングしたとき、これはちょっと違うんじゃないかな、と正直思いました。我々には昔から蓄積された多くのレシピがあり、少し新しさが足りないなあと。でも、後で聞いてみると、これは確信犯だったんじゃないかな。引き算するためにはやはり最初はいろんなものを作っておかなくてはいけないので、試作品はその布石だったのかなと。

最後にレシピが確定しときはうれしかったですし、ほっとしたという気持ちも正直ありました。やはりお客様から新しさ、驚きという狙ったところが反応として取れたところが一番大きかったですね。振り返ってみると、開発の中でもポップの使い方など、これまでキリンビールでもなかなかトライできなかった部分をやっていけたということが、ブレイクするポイントだったと思います」(田山氏)

「開発の初期は田山をはじめとした社員の試飲の反応も、お客様調査でも、驚きを伴った新しさがなかなか得られずとても苦労しました。でも、改めてそこでスイッチが入ったという感じはありますね。持っている技術、考え方、これらを改めて見つめ直して何十回もビールも作り、手元でも小さなラボ試験のような形でたくさん検証をして開発を実現できたのかなと思います」(東橋氏)

「晴れ風」を通じた「晴れ風ACTION」として、全国の「桜」や「花火」といった日本の風物詩をテーマにした応援活動をスタート。テーマごとに、公募審査により選出した全国の47自治体(市区町村)にて、「日本の風物詩」を保全・継承する活動の資金の一部として活用される。その意図についてキリンビール 副社長執行役員 山形光晴氏はこう話す。

「晴れた空の下で、心地よい風が吹かれながら飲むような、最高においしいビール、そんな気持ちをお届けしたいなという想いと、花見や花火、祭りといった日本の風物詩に集まる人々の笑顔や喜びを少しでも未来につなげていきたいなという想い、世の中をビールで晴れやかにして良い風を吹かせていきたい、そんな想いを込めて『晴れ風』というブランド名にさせていただきました。

100年以上にわたり、お花見や花火などビールを飲む喜びを広げてくれた日本の風物詩を守り、そこに集まる人々の笑顔を未来につなげていきたい。そんな思いから『晴れ風』の売上の一部を活用して、継承の危機にある地域の桜や花火などへの恩返しを始めます。この活動は継続的な活動として、できることから少しずつ取り組んでまいります」(山形氏)

「晴れ風ACTION」は、「晴れ風」を購入し、缶の裏に印字された二次元コードなどから専用サイトにアクセスすると、1日1回0.5 円分(350ml缶)、0.8円(500ml缶)の“晴れ風コイン”が無料で付与され、応援したい自治体を選んで寄付することが可能。

第一弾として4月2日から「桜」がスタート。専用サイト上では、アクション全体の寄付総額を確認できるほか、それぞれの桜に対して応援メッセージや写真を投稿できる機能、さらに「晴れ風ACTION 」への参加証明書をSNS でシェアすることもできる。

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