「入浴ルーティン5か条」〜幸福感を高める入浴法についての身体心理学の考え方
解説/山口 創先生
■ポイント1:幸せへのマインドづくり
思考は幸せホルモン「オキシトシン」分泌を邪魔してしまいます。オキシトシンを出すため、思考を手放し、感覚に集中することが大切です。また、無意識より意識的に触れた方がオキシトシンが出やすいとされています。相手を思いやる気持ちになるとオキシトシンが出るため、相手を思いやるように自分を思いやり、慈しむことも大切です。
お風呂の中に携帯を持ち込んだり読書したりする方もいますが、入浴中は自分と向き合う時間。内側に気持ちを向けるようにすることがおすすめです。
■ポイント2:手のひらを大切に使う
手のひらで自分の身体に触れるとオキシトシンが出ます。また、触れることで慈愛ができるので、入浴×さすることの2つに幸せの相乗効果があります。自分に触れると内側に意識が行きやすくなり、自分がクリアに見えてきます。湯船に浸かって手で身体をゆっくりとさすったり、ボディウォッシュ時も手で身体を洗うようにするとオキシトシンが出ます。セルフハグも効果的です。
触れる時の速度は1秒に5cm進む程ゆっくりを意識して、圧としては500gペットボトル1本くらい。手のひら全体で行うと、圧が分散されて心地よく感じられる。
■ポイント3:ルーティン化する
ルーティンにすることによって、感覚に集中でき、幸せ効果(オキシトシンが出る量)が高まります。
幸せにつながる『入浴ルーティン5か条』を実践したことによる心身の変化を調査
■調査方法
20~50代の男女16名を対象に、A.シャワーのみ、B.湯船に入浴のみで幸せにつながる入浴ルーティン5か条はなし、C.幸せにつながる『入浴ルーティン5か条』を実施、以上の3グループに分け、VAS法アンケートにて実施前後での心身の状態を表す各項目の点数の差を算出した。
■調査結果
・A.シャワーのみよりも、B.湯船に入浴をした方が、心身に関するプラスの項目のうち、上記9つの項目が増加した。
・B.湯船に入浴するよりも、C.幸せにつながる『入浴ルーティン5か条』を実施した方が、心身に関するプラスの項目のうち、上記9つの項目が増加した。特に「幸せを感じる」「やる気がでる」の2項目には顕著に変化があることがわかった。
湯船につかることで幸せになれる理由について
解説/山口 創先生
(1)身体起点の幸福
「身体がぽかぽかする」「ほっとする」「幸せを感じる」の項目が増加した理由としては、哺乳類は温かいと、安心する。安心できると、幸せホルモン オキシトシンが出る。入浴によって皮膚が温まり、安心したことによって、幸せを感じるものと考えられる。
(2)精神起点の幸福
「幸せを感じる」「リフレッシュした」の項目が増加した理由としては、古来から日本人は入浴で心の穢れ(嫌なこと)を流してきた。思考を手放し感覚に集中しやすくなることで、幸せホルモン オキシトシンが出やすくなると考えられる。
監修者/山口 創(やまぐち はじめ)先生
桜美林大学リベラルアーツ学群 教授 博士(人間科学) 臨床発達心理士 一般社団法人日本フィトセラピー協会理事
早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は、ポジティブ心理学・身体心理学で、人の健康や幸福について研究。
関連情報
https://www.pola.co.jp/special/o/well-being-study/about/
構成/清水眞希