初めて購入する人にも不便さを感じさせない実用的なEV
走行モードは「コンフォート」モードを選択。他に「エコ」「スポーツ」「カスタム」のモードが選べる。アクセルを踏み、走り出すと、地下駐車場には周囲にウォーンという低い唸り音(電子音)が響いた。これは30km/h以下で意図的に発生させているとのこと。「ID.4」のボディーサイズは、全長約4.6m、全幅1.85m、全高1.64m。レクサス「NX」や日産「アリア」に近いサイズなので、街中での取り回しもラクだ。ちなみに、車両価格も「NX」のEVや「アリア」よりも「ID.4 Lite」のほうが安い。
Dレンジへのつまみスイッチを前方に倒すように回す。もう1回、回すとBレンジになる。Pはつまみを押しこむように動かす。Rはつまみを手前に回すように動かしてシフトする。センターコンソール上にはスッキリしている。スタートからの動きは、床下に電池を搭載しているので、重心が低く、コーナーでも安定している。
「ID.4」は車体後部にモーターを搭載し、後輪を駆動する方式だが、車体の重量配分は前後50ずつに近いので、バランスは良い。さらに、最低地上高は160mmなので、オフロードでの走りも安心感がある。
一方、回生ブレーキは、Dレンジでの一般走行ではほとんど体感できない。むしろ、中・高速域で、アクセルを離しても、コースティングするので、アクセルを離した瞬間は、回生ブレーキを期待しているのに、加速するかのような動きをする。最初は慣れが必要だった。街中ではBレンジを使うことをすすめたい。ただし、Bモードでも車両は完全停止しない。
充電に関しては、自宅の200V、3kWだと、電池残量30%から100%までは約8時間かかる。夜間にガレージで充電をしておけば、翌朝には100%充電になるので、日常の使用にはまったく不便は感じなかった。
実用面でも「ID.4 Lite」は、運転席の着座はやや低めにしても、右後方の視界はリアドアウインドウが少し視界に入るので、黙認できる。斜め前方もAピラーやミラーの死角は少なく、運転しやすかった。後席も床面はフラットで、前席下に足が入るスペースもあるので、長身の人も狭い思いはしなくてすみそうだ。
4対6で可倒する後席と、ラゲージスペースは床面がやや傾斜しているが広い。さらにラゲージでスペースも横幅が1000~1260mm確保されているので、ゴルフバッグが横置きできた。床面は左右に深さのあるポケットもあり、サブトランクの深さは約110mmあるので、充電ケーブルなどを収めることもできる。使い勝手のよいラゲージだといえる。「ID.4 Lite」は、EVを初めて購入する人にも不便さを感じさせない実用的なEVといえそうだ。
■関連情報
https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/id4.html
文/石川真禧照 撮影/萩原文博