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フォルクスワーゲンの「ID.4 Lite」を実用的で使い勝手のいいEVとして推したくなる理由

2024.03.30

欧州、特にドイツのEV(電気自動車)に対する期待度は、落ち着いてきた感があるが、それでも自動車メーカー各社は、独自のEC製造に力を注いでいる。ドイツ最大の自動車メーカーといえば、フォルクスワーゲングループ。傘下にアウディ、ポルシェ、ランボルギーニ、ベントレーなどを抱える巨大企業だ。当然、このグループを構成する各社もEVの生産・販売を企画し実行に移しているわけだが、同じアーキテクチャーをコストダウンのために採用していたとしても、それぞれが特徴あるEV製造を行なっているところが面白い。

「ID.4」の中でもおすすめしたいのはLite!

今回紹介する「ID.4」は、フォルクスワーゲンのEVで、2022年11月に日本市場向けの特別仕様車を発売した。それが完売したことを受け、2023年5月から本格的な日本市場向けのEV生産に取りかかった。日本市場向けの「ID.4」は、Pro(プロ)とLite(ライト)の2モデル用意されている。Proは上級モデルで、搭載する電池の総容量が77.0kWhで、204PS、310Nm。航続距離も618km(WLTCモード)。一方、Liteは52.0kWhで、170PS、310Nm。航続距離は435km(同)、車両本体価格はProが648.8万円、Liteは514.2万円。もちろん、それぞれに補助金が国や地方自治体から支給される。

 この2車を乗り比べてみたが、おすすめしたいのはLiteだ。確かに航続距離はProのほうが長いものの、ハンドリング、乗り心地、扱いやすさではLiteのほうが上だと感じた。その理由はいくつかある。まず車両重量。Proは2140kgに対し、Liteは1950kgなので90kgもLiteは軽い。装備の差も理由の一つだ。例えば、パノラマガラスルーフはPro専用。先進安全性能の違いについては、コーナリングライト、LEDマトリックスヘッドライト、緊急時停車支援システムは搭載されていないが、他の先進安全装備は同等に装備されているので、実用面での差異は小さい。

 もうひとつの大きな違いといえば、タイヤ/ホイールだ。試乗した2車の場合、タイヤはハンコック製の「VENTUS EVO3」でProは(前)235/50R20、(後)255/45R20を装着していた。Liteは前後とも235/60R18を履いている。45、50の20インチと60の18インチでは、乗り心地の差異は大きく、さらに軽量化も乗り心地に影響を与えている。

 試乗車のLiteは、充電99%で、航続距離は満充電時の435kmからは程遠い363kmを示していた。差が大きいが航続距離の表示は、直近の運転方法によって大きく影響を受けるので、数値を鵜呑みすることは避けたほうがよさそうだ。

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