商品として魅力的か?★★★★ 4.0(★5つが満点)
とても魅力的な商品であることは間違いない。今回のマイナーチェンジによって値上がりしてしまったとはいえ、比較的に手頃な価格(289万8500円~430万8700円)で運転を楽しむことを追求したスポーツカーを購入することができるからだ。もちろん「ロードスター」は、日常的な用途もこなせる実用性も備えているが、電動化や自動化ばかりが喧伝される自動車の世界にあって、運転の楽しみが第一に訴求しているのはとても貴重な存在だと言える。
「ロードスター」が魅力的であるからこそ、欲を言わせてもらえれば、もっとオーナーに寄り添う企画も用意してもらいたい。工学的な進化は自明のこととして進めてもらえれば良い。それよりも、カスタムオーダー制度を始めて“自分だけの一台”を造れるようにしたり、内外装の色や素材などの種類を増やしてもらいたい。
今回も「Sレザーパッケージ Vセレクション」という画像にあるグレードが追加された。赤いボディーにベージュの幌、タンのレザーシートが組み合わされているが、ダッシュボードやセンターコンソールなどの面積の広いプラスチック部品が黒だから反対色となってしまい、配色としてチグハグな印象を受けてしまう。理想的には赤いボディーを反映させてバーガンディーやダークブラウンだと調和する。難しければ、黒をダークグレーにするだけで、内外装のそれぞれがより引き立ってくるはずだ。
スポーツカーだからといって、オーナーとなる人はクルマおたくや運転マニアだけとは限らない。楽しみのために乗るクルマなのだからこそ、色や仕様などは自分好みを追い求めたくなるものだ。そのためにも、他社のようにWeb上のコンフィギュレーターなどを使ってオーダーメイド仕立てができたら、購入意欲とマツダのブランドロイヤリティーも高められるだろう。その分の価格上昇や納期延長なども、納得済みで受け入れられる時代になった。マツダ「ロードスター」は、まだまだその魅力を広く訴求することができるはずだ。
■関連情報
https://www.mazda.co.jp/cars/roadster/
文/金子浩久(モータージャーナリスト)