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マツダブランドの象徴「ロードスター」に乗って思うこと

2024.03.31

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 マツダ「ロードスター」にマイナーチェンジが施された。主な変更点は、ACC(アダプティブクルーズコントロール)とスマートブレーキサポート(後退時検知機能)の採用、センターディスプレイの大型化などマツダコネクトの改良、走行性能向上のために新開発の「アシンメトリックLSD」が装着などが挙げられる。1.5L、4気筒エンジンと6速MTの組み合わせによるソフトトップの新型2台とマイナーチェンジ前の旧型1台、および2.0L、4気筒エンジンを搭載し、金属製トップを持った「RF」の1台を試乗した。

機械として優れているか?★★★★★ 5.0(★5つが満点)

 どれも「ロードスター」独自の世界を体現していて、素晴らしかった。コーナーを軽快に駆け抜けて、クルマを運転することが肉体と精神の悦びに直結している。ボディーサイズが小ぶりで重量が軽い分だけ自分の身体の延長線上にある感覚が強い。スポーツカーにとって小さいことと軽いことが重要であることを体現している。

 また、新たに採用されたアシンメトリックLSDは、加減速時のディファレンシャルギアの差動制限力を変化させることでコーナリングの挙動を安定させることを目的としている。EV(電気自動車)にも活用することを目論んで、マツダがサプライヤーと開発したものだ。

 これが装着されていない旧型と比較したが、旧型オーナーが買い替えたくなるほどの絶大な効能は感じなかった。旧型だって、十分に軽快で、かつ安定しているのだ。そして、改めて夢中にさせられてしまうのは、幌を開けての運転だ。ウインドスクリーンのラッチを外して幌のロックを解除し、そのまま左手で後ろに押すだけで幌は畳まれる。開けて走ると「ロードスター」の軽快な走りが一層と際立つ。

 電動開閉式の金属製ルーフを備えた「RF」には増加した重量をまかなうために2.0L、4気筒エンジンが搭載されていて、その分の重厚さを身に付けている。どちらを選ぶかは、用途と好み次第だろう。

 幌は手動式なので、慣れれば10秒以下で開閉できる。この手軽さは大きな魅力だ。街中でも開けて走り、閉めたくなったら赤信号で停まった時に素早く閉めることができる。「RF」はダッシュボード中央のレバーを押し続けることで、15秒で開閉それぞれを行えた。

 幌の開閉が手動式ということは、マニュアルトランスミッションの操作と同じ意味を持っている。実用車の運転が移動のための手段であることに対して、運転という行為が目的化しているスポーツカーにとって、あらゆる操作が手動で行えることは、それだけ悦びも増える。「ロードスター」の優れた手動式の幌は、走る・曲がる・止まるといった運転操作と同じ意味を持っていることを再確認することができた。

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