アドビが生成AIであるAdobe Fireflyの提供開始から1年。同社によればAdobe Fireflyを使用して65億枚以上の画像が生成されたという。
そんなAdobe Fireflyの最新機能として、Adobe Firefly Web版の「テキストから画像生成」モジュールで利用可能な「構成参照」機能がAdobe Summitにおいて発表された。
本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。
クリエイティブコントロールの未来〜Adobe Fireflyの「構成参照」機能
「構成参照」機能は、既存の画像を参照テンプレートとして使用することで、ユーザーは同じレイアウトで複数の画像バリエーションを生成できるようになり、想像していたとおりの画像を得るために完璧なプロンプトを書くという試行錯誤のプロセスを省略できる。
「テキストから画像生成」モジュールのAdobe Fireflyのもう1つの機能であるアドビの「スタイル参照」は、スタイル参照画像を取り込んでプロンプトに適用する。
この機能と「構成参照」を組み合わせることで、ユーザーは画像のストラクチャとスタイルの両方を参照して、アイデアをいち早く形にできる。これらの機能の組み合わせにより、新次元のコントロールと最先端のビジュアル品質を提供が可能になった。
以下に「テキストから画像生成」モジュールのAdobe Fireflyの新たな「構成参照」機能による、画期的で面白いユースケースを紹介する。
■部屋の写真をアップロードして「生成」ボタンを押すだけで部屋ごと再デザインできる
■絵をクールな雰囲気に、あるいは写実的な画像にするなど、そのスタイルを変えられる
絵に奥行きやテクスチャ、ライティング、色彩など様々な要素を追加することで写実的な絵に変え、新たな命を吹き込むことも可能だ。
■画像の構図を残したまま、モノクロ画像や線画をカラー化して全く新しい画像を作ることができる
「構成参照」により、クリエイターは簡単に作品を修正することができる。マーケターはブランドのイメージに沿った画像をキャンペーン全体で展開が可能なほか、デザイナーは完璧なテキストプロンプトを記述しなくても、画像のレイアウトやストラクチャ、被写体のポーズを容易に生成できる。
■アイデア出しから創造をサポートするAdobe Fireflyの力
Adobe Fireflyは、クリエイティブなワークフローに直接統合できるよう一から構築されているため、アイデア出しや実験、そして作成まですぐに進めることができる。
これまでに、Adobe Fireflyの機能は、Adobe Photoshop、Adobe Express、Adobe Illustrator、Adobe Substance 3DなどAdobe Creative Cloudアプリケーションに直接に組み込まれてきた。
同社では「Adobe Fireflyの使命は、イメージング、ベクター、フォント、オーディオ、ビデオ、3Dなど、当社製品のワークフローを強化する世界クラスのモデルを開発することです」とコメントしている。
アドビのAIに対する責任あるアプローチ
アドビは現在、世界トップクラスのモデルによってクリエイティブワークフローを強化することで、クリエイター中心のアプローチで責任ある生成AIの開発に取り組んでおり、Adobe Fireflyの生成するすべての出力には、コンテンツクレデンシャルが自動的に付与される。
デジタルエコシステムの透明性向上を支援するため、アドビは2019年にコンテンツ認証イニシアチブ(CAI)を設立しており、オンラインコンテンツの「成分表示ラベル」として機能する無料のオープンソース技術として、コンテンツ認証情報などの起源追跡ツールの広範な普及を促進している。
CAIは、大手テクノロジー/メディア企業、カメラメーカー、ニュース出版社、クリエイティブプロフェッショナル、研究者など、約2500のメンバーを擁するまでに成長している。
Adobe Fireflyの生成AIモデルのトレーニングには、Adobe Stockなどのライセンスドコンテンツと、著作権が失効したパブリックドメインのコンテンツが使用された。
Adobe Fireflyのモデルは安全な商用利用を念頭に設計されており、アドビは企業に対し、知的財産(IP)の補償を取得する機会を提供している。
構成/清水眞希