裁判所のジャッジ
裁判所
「う~~ん。SEXを明確に認定することはできませんね。でも麗子がマサオに送信したメールは夫婦の婚姻生活の平穏を害しているから違法。麗子は妻に30万円払いなさい」
SEX認定されず
―― 裁判官さん!これほどの漆黒メールですよ。SEX認定しなかった理由を教えてください。
▼ 逢いたい系
――麗子はマサオに「会いたい」「誕生日に一緒にいてくれてありがとう」とか送っていますが……。
裁判所
「これらの表現から性的な行為の存在までを推認することは困難です」
▼ チュ
―― ほな「チュ」はいかがですか?
裁判所
「キスを連想させるものなんですがメールの中で挨拶的にしたと捉えられますね」
―― それもあるけど、麗子がマサオに「チュってしたからよく消毒してね」って送ってますやん!これはリアル接吻でしょうよ!
裁判所
「性交渉の存在までを推認させるものではない」
▼ 血まみれ
―― 麗子がマサオに「血まみれになるからギュウはできないよ」と送った点はどうでしょう?
裁判所
「生理中の性交渉を想像させる余地のある表現ではあるが、内容が曖昧な部分が残るうえ、文脈としては生理中の性交渉をやんわりと断った表現ですね」
▼ いちゃいちゃ・ぶちゅぶちゅ
裁判所
「麗子とマサオとの不適切な関係を暗示するかのようなものですが、その内容はあいまいであり性交渉の存在を認める確かな証拠とまではいえない」
(いちゃいちゃ、ぶちゅぶちゅしたら、延長線上には1つしかないやん……)
▼ Hだね
―― 裁判官、これはどう説明されるのでしょうか。麗子はマサオに「Hだねマサオ。バイアグラはいらないよ。私Hじゃないもん」と送ってますが!
裁判所
「麗子とマサオの密会を暗示するようなものではあるが、この記載から現にそのような計画(H)が実行されたとまで断定することはできない」
というわけでSEX認定されませんでした。けど、麗子がマサオに送信したメールは【やりすぎ】!夫婦の婚姻生活の平穏を害していると認定されました。
■ 教訓
男女関係になかったとしてもメールの内容には要注意です。
木を見て森を見ず?
この判決、ビックリしましたね。たしかにメールを別々に検討すればSEX認定できないかもしれませんが、総合的に検討したら「SEXしてるやん!」というのが通常の感覚ではないでしょうか。みなさんいかがですか。
刑事裁判なら「疑わしきは被告人(麗子)の利益に」という原則があるので、グレーなら無罪なんですが、今回は民事裁判なのでその原則は適用されず、天秤がどちらに傾くかの話なんです。民事裁判は裁判官の心の天秤を傾けるゲームなんです。
で、今回天秤は「SEXしてるだろ」に傾いてもおかしくないケースだと思いました。裁判官が違ってたらSEX認定されて慰謝料が上がっていたかもしれません。どんな裁判官にあたるか、裁判は運もあります。日ごろの行ないに気をつけましょうw
麗子
「能書きタレているところ失礼します!『ギュウ』という表現ですがこれはマサオが『手をかざして痛みを和らげる能力を持っている』と言ったので私の肩に手をかざしてもらっただけ
裁判所
「シャラップ!」
今回は以上です。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。コンテンツ作成が専門の弁護士です。
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