エイジング、スパイク、ケーブル、電源、オーディオ道は深い
納品翌日、ツェッペリンをかける。前日より低音はいっそう響き、高音も切れてきた。もちろんAKUBARIKにはまだまだ及ばないが、3歩進んで2歩退がるではなく、3歩進んで一晩過ごしたらもう1歩進んだ感じ。いい具合だ。その翌日には、音場の左右への広がりを実感する。この調子ならAKUBARIKを凌ぐ日もそう遠くないだろう。ペルソナ3F納品初試聴時の、ショッキングなあの音が嘘のようだ。『FMレコパル』在籍時の上司の言葉(前編参照)の真意が、40年経ってようやくわかったような気がする。
納品時にインポーター氏からエイジングが完了したら、床との接触を現在の平置きから先の尖ったスパイクに変えてみることを勧められた。音がより切れて低域の解像度も上がるため、空間の見通しが良くなるという。スパイクは付属しているのでお金はかからない。エッジの効いたギター音が好きだから、ぜひ試したい。またケーブルによる変化もトライする価値があるそうだ。こちらは岩田さんに及ばずとも(最近、10m5万円を10m30万円に替えたとのこと)、かなりのコストが必要だ……。
その岩田さん、床との接触やケーブルよりもまずは電源を変えるべきだという。機器に入ってくる電流を綺麗にすることで、音は少なくとも30%以上良くなると断言する。これは何らかの機器を導入するのではなく、部屋への配線を変える工事で、その費用はおよそ60万円とのこと。もし引っ越した場合、次の家には持ち込みようがないサウンド・グレード・アップだ。かようにオーディオ道は深い。そしてとんでもなく金食い虫だ。エイジングが完了したペルソナ3Fの音で、十二分に満足する自分でありたい。
文/斎藤好一