日銀は2024年3月19日、17年ぶりとなるマイナス金利政策の解除を決定。 長短金利操作(YCC)の撤廃も決まったことで、2013年に始まった大規模緩和政策は終わりを告げることになった。
この動きを受けて三井住友DSアセットマネジメントから、同社チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏によるリポート「日米の金融政策を終えて今後の焦点はどこに置くべきか」が到着したので、本稿ではその概要をお伝えする。
日銀はマイナス金利解除を決定、FRBは政策据え置きを決め年3回の利下げ予想を維持
日銀は3月18日、19日に金融政策決定会合を開催し、マイナス金利の解除と長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃、上場投資信託(ETF)などリスク資産の新規買い入れの終了を決定した。
声明では、マイナス金利解除後も「当面、緩和的な金融環境が継続する」と明記し、長期国債の買い入れについても、「これまでとおおむね同程度の金額」で継続し、長期金利急騰時には機動的に増額する方針を示している。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月19日、20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利を5会合連続で据え置くことを決定。
メンバーが適切と考える「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」では、年内25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げは3回との見方が維持され、パウエル議長も「インフレ率が2%に向かって徐々に低下していく全体的なストーリーは変わっていない」と述べた。
■日米でタカ派警戒が大きく後退し長期金利低下、株高、円安に、ドル高は政策運営への信任か
日銀とFRBの政策決定を受け、先週は日米で主要株価指数が上昇、10年国債利回りは低下、対主要通貨で円は下落、ドルは上昇という動きになった(図表1)。
日銀の決定は市場の予想どおりだったが、緩和的な金融環境の継続と長期国債の買い入れ継続が声明に明記されたことで、日銀が早期に追加利上げを行なうとの警戒は大きく後退し、これが日本の長期金利低下、円安、株高につながったと推測される。
FRBの政策据え置きも市場の想定どおりだったが、ドットチャートの年内利下げ予想については、三井住友DSアセットマネジメントも含め市場では3回から2回に減るとの見方があった。
そのため、3回で維持されたことでFRBのタカ派転換への警戒が和らぎ、米国市場は長期金利低下、株高で反応したと考えられる。ドルは主要通貨で上昇したが、FRBの政策運営に対する信任と解釈される。