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国交省が有効とするも6割超が知らない「減築」のメリット

2024.03.28

「減築」とは何かご存じだろうか?

「減築」とは、建物の床面積を減らすリフォームや改築のことで、「増築」の対義語として使われる。2階建てを平屋にしたり、使っていない部屋を撤去したりして建物を小さくすることを言う。

平松建築はこのほど、持ち家戸建て住宅に居住中の50歳以上75歳未満の男女全国1,000人を対象に「減築」に関する実態調査を実施し、その結果を発表した。

減築の認知度、興味・関心度ともに2割前後

国土交通政策研究所では、減築は「住宅の建築面積の一部や階数を減らすなど建築物の床面積を減らして住宅のコンパクト化を図ること」と定めている。

まず「『減築』という言葉をしっているか?」と尋ねたところ、7割弱(65.6%)が「知らない」と回答して最多となり、「知っている」(10.5%)、「なんとなく知っている」(11.5%)、「聞いたことがある程度」(12.4%)は各1割程度となった。

続いて、「減築に興味はあるか?」と尋ねたところ、7割弱(66.2%)は「興味はない」、2割弱(18.2%)が「現在興味はないが、検討の余地がある」、1割(11.1%)が「やや興味がある」、「興味がある」はわずか(4.5%)となった。

また「減築のメリットは何だと思うか?」と尋ねた。最も多かったのは「使わない部屋や無駄なスペースが減らせる」(56.3%)となり、以下「掃除など家事負担が減る」(40.0%)、「光熱費やメンテナンス費が抑えられる」(34.4%)、「固定資産税が減る」(29.3%)、「生活動線が短くなり、移動負担が減る」(27.0%)と続いた。

職人社長・平松 明展(ひらまつ あきのぶ)氏が「減築の有効性」について解説

■減築のパターン

減築には、下記の6つのパターンがある。

Ⅰ:平屋の一部除去
Ⅱ:2階建ての1階・2階の一部の同時除去
Ⅲ:2階建ての2階の一部の除去
Ⅳ:2階建ての2階全部除去
Ⅴ:2階建ての1階の一部の除去
Ⅵ:2階建ての2階床の一部の除去(吹き抜け化)

(出典元:国土交通政策研究所「減築による地域性を継承した住宅・住環境の整備に関する研究」)

■なぜ減築なのか?

平成30年の総務省「住宅・土地統計調査」によると、「高齢単身」世帯住宅室数は平均で4.37室、「高齢夫婦のみ」世帯は5.35室となっており、家族で住んでいた家にそのまま住んでいるせいか、かなり部屋数の多い家に住んでいるようだ。

そこで、以下の3つの理由から高齢者世帯には減築をお勧めする。

1.生活費の削減

高齢者は退職して収入が減少することが多く、光熱費や維持費などの住宅関連の費用が負担となることがある。減築によって部屋数が減り、暖房・冷房コストや家具・家電の必要性も減少するため、生活費の削減に繋がる可能性がある。

2.管理の容易化

多い部屋数の住宅は、片付けや掃除、日常の維持管理が一層大変だ。高齢者の身体的な制約を考慮すると、部屋数が少ない住宅のほうが管理は容易で、健康状態に合わせた生活スタイルをサポートしやすくなる。

3.安全確保

高齢者は急な階段や狭い通路、たくさんの部屋がある住宅内での移動が難しくなる。減築によって住宅内の移動がスムーズになり、転倒やけがなどのリスクを低減することができる。

減築は、高齢者世帯に対して、経済的、身体的、そして社会的な面でのメリットをもたらす可能性がある。ただし、減築にかかる費用が高額になる場合などもあるため、個々の高齢者の状況によっては、経済状況や家族構成、健康状態などを十分に考慮し、適切な提案することが求められる。

減築のメリット
・使わない部屋や無駄なスペースが減らせる
・掃除など家事負担が減る
・生活動線が短くなり、移動負担が減る
・耐震性がアップする
・固定資産税が減る
・光熱費やメンテナンス費が抑えられる
・防犯性がアップする
・減らしたスペースを(駐車スペースや庭など)新たに活用できる
・バリアフリー化しやすい

減築のデメリット
・高額な費用がかかることもある
・工事中の仮住まいが必要

<調査概要>
調査期間:2024年2月27日
調査手法:インターネット調査
調査対象:持ち家戸建て住宅に居住中の50歳以上75歳未満の男女全国
サンプル数:1,000人
調査機関:Freeasy

出典元:平松建築株式会社 調べ

構成/こじへい

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