昨年1年で。玩具はどれくらい売れたのだろうか?また、特に売上金額を伸ばした玩具のジャンルとは?
GfK Japanはこのほど、全国の家電量販店、総合量販店、インターネット販売における2023年(1-12月)の玩具*1販売動向を発表した。
玩具販売動向
2023年(1-12月)の全国の家電量販店、総合量販店、インターネットにおける玩具販売は金額前年比13%増となった(図1)。
大分類別にみると、「ゲーム」の金額が40%増と大幅に拡大した。「ポケモンカードゲーム」や「ワンピースカードゲーム」などのトレーディングカードゲーム(以下、TCG)が前年以上に好調な売れ行きを見せたことから、前年2022年の伸び率(24%増)を大きく上回るプラス成長となった。
新シリーズの「仮面ライダーガッチャード ライドケミートレカ」の発売も「ゲーム」金額の押し上げに貢献した。その結果、2023年の玩具販売に占める「ゲーム」の金額構成比は前年から8%ポイント増加し、38%に達した(図2)。
大分類「ゲーム」の金額は、TCGを除いても前年比13%の増加であった。クレーンゲームやスポーツゲームなどの「アクションゲーム」、「立体パズル」、ハンディな電子回路や小型液晶画面を使用した「ハンドヘルドゲーム」はそれぞれ、多くの人気商品を輩出し、前年から金額が2桁増となった。
「ゲーム」の他にも、「男児玩具」「ぬいぐるみ・人形」の販売金額がプラス成長となった。玩具販売金額の2割強を占める「男児玩具」においては、ガンダムなど様々なキャラクターとのコラボ商品や大人向け商品の人気が高まった「トミカ」シリーズや、映画やアニメ放送の話題性とともに毎月新商品が発売された「トランスフォーマー」、7月から第4世代シリーズの販売が開始された「ベイブレード X」、4月からテレビアニメの主人公が新キャラクターへ交代となった「ポケットモンスター」関連商品など、多くの人気キャラクターやシリーズの販売金額が伸長した。
「ぬいぐるみ・人形」においては、「ポケットモンスター」に加えて「ちいかわ」が金額上昇に寄与した。「ちいかわ」は、2022年まで玩具においては「ぬいぐるみ・人形」「男児玩具」「ゲーム」の商品展開にとどまっていたが、2023年は5つの大分類すべてにおいて新製品が発売され、存在感の高まりが感じられた。
一方で、「女児玩具」の金額は5年連続のマイナス成長、「基礎玩具」の金額は前年(1%減)よりも下落率が拡大し2年連続のマイナス成長となった。特に「基礎玩具」においては、2020年に巣ごもり需要によって金額が大きく拡大した中分類「ブロック」や知育玩具などの「プレスクール」の金額が大きく縮小した。
2023年は新型コロナウイルスが5類へ移行し、マスク着用や都道府県間の移動、水際対策、学校行事などの制限緩和が進む中、旅行や外食に向けられる消費支出が前年以上に拡大した。
コロナ禍において子どもたちが家の中で楽しく有効に時間を過ごすためにブロックや知育玩具に向けられた需要は一服した一方で、うごかせる立体動物図鑑として手のひらサイズの動物フィギュアが展開されている「アニア」、またブロックの中でも「ナノブロック」といった、比較的小型で携帯可能な、外国人観光客のお土産としても好まれる基礎玩具の販売金額が伸長するという変化がみられた。
平均価格の動向
玩具全体の2023年平均価格は、前年に比べて17%減少した(図3)。2023年も、食品をはじめ様々な物やサービスの価格上昇の動きが前年から継続し、玩具においても価格改定により店頭売価が上昇する商品は多くみられた。一方で、玩具販売においてトレーディングカードなど単価の低い商品が多く含まれる大分類「ゲーム」の占める比率が拡大したことは、前年以上に玩具全体の平均価格低下につながった。
大分類別にみると、「ゲーム」以外の平均価格は上昇傾向となっている。特に、「男児玩具」「女児玩具」「ぬいぐるみ・人形」については、前年よりも単価上昇幅が拡大した。玩具全体から大分類「ゲーム」を除いた平均価格は、前年比3%の上昇であった。
*1. テレビゲーム関連商品、ホビー関連商品、雑貨等を含まない純玩具
出典元:GfK Japan
構成/こじへい