2024年2月現在、日本国内では地球4周分の水道管が法定耐用年数である40年をすでに迎えていると言われている(※1)。
さらに、水道管の耐震適合率は全国平均で41.2%にとどまっている(※2)とも言われ、自然災害の多い日本においてあらゆる被害の発生が懸念され、問題視する世論も年々高まっているのだ。
また、昨今では、発がんの可能性をはじめとした健康へのリスクが懸念される「PFAS(ピーファス)」や「硝酸態窒素」が水道水中に含まれている可能性に対する指摘について、世界各国で関心が高まっている。
「WACOMS」はこうした現状を踏まえ、私たちが生きる上で欠かせない「水道」というインフラが抱えている課題を知り、将来に向けて実情との共存について考える機会をつくることが大切と考え、全国の20代以上男女1,126名を対象に「水道に対する意識調査」を実施した。
約8割が水道管について「実態を知らない」と回答、一方で若い年代ほど知っている傾向に
水道管の老朽化については国や自治体が様々に対応や啓蒙を行いつつあるが、対応状況の認知について尋ねたところ、国・自治体いずれの取り組みについても全体の約8割は「ほとんど知らない」「全く知らない」と回答。
一方で、年代別に見ると20代(n=266)では「ほとんど知らない」「知らない」の回答が6割未満にとどまっていることから、SNSなどを通して自ら情報を取得する傾向にある若年層ほど情報を得ており、情報や意識において格差が生まれつつある可能性も浮かび上がってきた。
2024年現在、巨額の資金が必要であるという現実が水道管の更新・耐震化の障壁のひとつとなっている。
実際には2040年頃に更新投資のピークを迎えるという試算(※3)もあるなかで、生活者へ水道財政悪化の時期を尋ねたところ、全体の59.4%の人が試算よりも遅い「2050年以降」、あるいは「あてはまるものはない/わからない」と回答した。
今後15年程度のあいだにますます管理がしきれなくなり、水道水の品質悪化や災害時の被害拡大に関わるリスクを抱えているにも関わらず、遠い将来の話であると思っている人や、課題として認識していない人が多い実情があるようだ。