豆腐の幅を広げる『ソイーネ』や研究を活用した『睡眠ラボ』
今回のエントリー商品の傾向として、「ココロとカラダのセルフケア」を提案する“ウェルビーイングごはん”を意識した商品が多く見られた。特徴としては、「野菜」や「雑穀」を積極的に摂取させる商品や、野菜の良さを活用した商品、「機能性食品」「栄養訴求」「リラックス」といった、消費者の健康維持やセルフケアをサポートするものが登場している。
例えばグランプリの『無添加ふりかける胡麻おかか味』は、栄養素を配合しつつも着色料や香料不使用にこだわった味胡麻を提供。また、トレンド賞に選ばれた『ソイーネ 豆腐サラダの素 柚子醤油味』は、豆腐と野菜にかけるだけで、簡単に柚子と昆布の風味がきいた豆腐サラダを作ることができる。ダイエットや健康維持に向いている豆腐のレパートリーを広げる。
『ソイーネ』ブランドを立ち上げたハウス食品株式会社食品事業本部の楠本明日香氏によると、同商品は「伝統食品の豆腐をもっとたくさんの人に食べてもらいたい」という思いで考案。
ハウス食品が強みとするスパイスや味づくりの力を活用し、味噌汁や冷ややっこ以外の食べ方を広める商品を開発した。開発者メンバーが一般社団法人『日本豆腐マイスター協会』の『豆腐マイスター』資格を取得するほどの力の入れようだ。
4月下旬発売予定の『睡眠ラボ』は、「睡眠改善」に「記憶力維持」をプラスした機能性表示ドリンク。ファーマーフーズは機能性の原料を研究している企業で、同イベント初エントリーにして『睡眠ラボ』がトレンド賞に選ばれた。「睡眠改善」などの成分『GABA』の研究を行う同社が、今回新たに「記憶力維持」の成分も研究し、「睡眠改善」と「記憶力維持」のダブルフレームで新商品を開発した。
また、アレルギー特定原料8品目を使わず、豆乳を原料としたアイス『Soy マルチ バニラ』や、植物性ミルクを使用した『クーリッシュ Green ストロベリー』など、スイーツジャンルも健康を意識した商品が目立った。
さらに冷凍食品では、33種類の栄養素を取り入れた『完全メシ ぶたいか玉お好み焼き』がトレンド賞に。若年層の“隠れ栄養不足”や中年層の肥満、シニア層のフレール※といった社会問題を解決するために、冷凍食品で「おいしさ」と「栄養バランス」の両立を実現した(※加齢とともに運動機能や認知機能が低下してきた状態)。
また、マイボトルに水を入れるだけでドリンクを作ることができる『「ブレンディ®」 マイボトルスティック 華やかに香るジャスミンティー6本』も、“ウェルビーイング”の視点が意識されている。同商品はマイボトル専用のパウダードリンク。マイボトルを持つことで繰り返し作って持ち歩くことができる。脱プラスチック、減プラスチックを目指し、サステナブルで環境に配慮された商品といえる。
その他にもエントリー商品の中には、たんぱく質や食物繊維を摂取できる『たんぱく質が摂れるお豆ブレンド雑穀』(株式会社はくばく)や、1日分の鉄分を摂取できる栄養機能食品の豆乳飲料『1日分の鉄分 豆乳飲料プルーンmix』(マルサンアイ株式会社)、日本初の麹菌だけで製造した機能性表示食品『麹だけでつくったあまさけ』(八海醸造株式会社)など、健康を意識した商品が集まった。
コロナ禍を経て健康や食生活を意識し始めた消費者たち向け、各食品メーカーも “ウェルビーイング”に着目し、「ココロとカラダをより良い状態にサポートする商品」の開発に力を入れているといえる。
取材・文/コティマム