アジアカップ惨敗に伊東純也の離脱…苦境の日本代表が挑んだ北朝鮮戦
毎熊晟矢(左から1人目)、田中碧(同2人目)と笑顔で走る長友佑都(右から2人目)=筆者撮影
2023年はドイツやトルコなど強豪国を次々と撃破し、「史上最強」の呼び声が一気に高まった日本代表。実際、遠藤航(リバプール)、三笘薫(ブライトン)、冨安健洋(アーセナル)の3人がイングランド・プレミアリーグで活躍し、久保建英(レアル・ソシエダ)や上田綺世(フェイエノールト)、鎌田大地(ラツィオ)がUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)に参戦するなど、選手たちの所属クラブの格付け、活躍度の向上は目覚ましいものがある。
だからこそ、1~2月のアジアカップ(カタール)は「優勝候補筆頭」と目された。しかし、グループリーグからベトナムに苦戦し、イラクに敗戦。まさかの2位通過を余儀なくされた。何とかベスト8まで勝ち進んだものの、屈強なフィジカルと凄まじい闘争心を持つイランに準々決勝で苦杯。相手のパワープレーに屈する形になってしまった。
これを機に森保一監督と代表チームへの期待値は急低下。伊東純也(スタッド・ランス)の問題も重なり、先行きが懸念されるようになってしまったのだ。
そんな中、迎える3月シリーズは、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選・北朝鮮2連戦(東京・平壌)。ここで1つでも落とすと、最終予選突破は6月のミャンマー・シリア2連戦に持ち越しとなるが、今こそ足踏み状態は許されなかった。
不安山積の代表に呼び戻された百戦錬磨の男・長友佑都
まさに不安山積。そんな代表にこのタイミングで呼び戻されたのが、37歳の長友佑都(FC東京)。サッカーに疎い人でも、日本代表142試合出場を誇る彼のことは知っているはずだ。偉大なサイドバック(SB)が初めて日の丸を背負ったのは2008年5月のコートジボワール戦(豊田)。今から16年も前である。そこから凄まじい勢いで成長し、2010年南アフリカW杯ではエースキラーとして異彩を放ち、日本不動の左SBの地位を固め、2014年ブラジル、2018年ロシア、2022年カタールと4度のW杯に参戦してきたのである。
所属した海外クラブも豪華。2010年夏にイタリア・セリエAのチェゼーナへ赴くと、半年後の2011年1月には名門・インテルへ。欧州CLなどの高いレベルの舞台も数多く経験した。そこからトルコの名門・ガラタサライに移籍したのが2018年1月。未知なる国でもインパクトを残すことに成功した。そして2020年夏にはフランス1部・マルセイユへ。酒井宏樹(浦和)と左右のSBを担ってベテランとしての価値を大いに示したのだ。
ご存じの通り、妻は女優・タレントの平愛梨。彼女との間に4人の息子がいて、家庭を愛する男でもある。そういった部分を含めて、長友の認知度と存在感は圧倒的なのだ。
目下、彼の日本代表出場数は、2023年末に現役引退してガンバ大阪のトップチームコーチを務める遠藤保仁の152試合に続く2位。仮に今回の北朝鮮2連戦で「やっぱり長友は外せない」となり、今後の2次予選や最終予選でも出番を与えられるようになれば、遠藤超えも現実味を帯びてくる。本人も「もちろんそこは目指しています」とキッパリ。「5度目のW杯に行くことを決めている」とも堂々と宣言した。
年齢に関係なく、凄まじい向上心と闘争心を抱き続け、ピッチ上で確実に仕事をするこの長友。森保監督が彼を再招集したのは、「不安定なチームを立て直してほしい」という強い思いゆえだろう。