今年の元日に能登半島地震が発生し、各地に甚大な被害をもたらしたことは記憶に新しい。今回のような大きな震災が起こると、我々に再度防災や減災について意識を高めるようにも感じるが、実際はどうなのだろうか?
LINEヤフーが提供する、LINEヤフーの多様なサービスから得られる行動ビッグデータを分析できる事業者向けサービス「ヤフー・データソリューション」はこのほど、防災にまつわる検索行動を分析したレポート「『防災』を意識するときってどんな時? データで見る防災・減災」を公開した。
「防災」の関心が高まる時はいつ?
防災への関心を調査するために、まず人々がどのような瞬間に防災に対して強く意識するのか、そのきっかけを調査した。Yahoo!検索における「防災」の2016年から直近までの検索数を調べ、どのようなタイミングで検索が増えているのかを見た。
これを見ると、「防災」の検索数は緩やかな上下動があるというよりも、ある日突然急増し、すぐに減少するという傾向があることがわかる。つまり、何かをきっかけにして急激に関心が高まるものの、その関心が長続きしにくいのが「防災」の検索数推移の特徴と言えそうだ。
次に、その関心が高まるきっかけが何であるかを把握するため、検索数が急上昇している日に何が起こっているのかを調べた。
調査の結果、人々の防災への関心が高まるきっかけにはある共通点があることがわかった。それは「実際に災害が発生した時」、「東日本大震災の日」、「防災の日(9月1日)」だ。逆に言えば、大きな災害が身近に起こるか、特定の日付以外では防災への関心を高めるのが難しいとも言える。
次に、もう少し具体的なキーワードの推移を見て、関心の高まるタイミングの違いを見てみよう。まずは「防災グッズ」だ。
「防災グッズ」への関心が高まる瞬間は、災害の中でも主に地震が起きた時であることが波形から読み取れる。台風や東日本大震災の日でも検索数は多少上がるが、地震発生時の方がより防災グッズへの関心が高まる傾向がある。
しかし、すべての地震がこの傾向に当てはまるわけではない。例えば2023年2月6日に発生し5万人以上の死者を出したトルコ・シリア地震の際には、防災グッズの検索数が大きく増えることはなかった。これは、自分自身にとって身近な出来事かどうかが、関心を惹きつける大きな要素であると言えそうだ。
これは都道府県別の検索特徴分布を見ても同様の傾向が見られた。2016~2023年の特徴度を平均化して都道府県別の関心の高さを可視化すると、「防災」「防災グッズ」ともに南海トラフ地震によって被害を受けると予想されている地域からの関心が高いことがわかった。
この結果からも、災害の危機を身近に感じている地域で暮らす人ほど「防災」や「防災グッズ」の関心が高い傾向にあると言えそうだ。
次に「ハザードマップ」の推移を見てみよう。
こちらは主に台風や豪雨といった大きな水害が発生したタイミングで検索される傾向が見られる。ハザードマップ自体は必ずしも水害だけでなく地震や津波の情報も含んでいるが、中でも最も一般的な洪水・浸水ハザードマップが閲覧されるために検索数が増えると想定される。
以上の「防災」および防災関連キーワードの検索数の動きからも、防災に対して人々の関心が向くのは、実際の災害が起こった時であると同時に、それ以外のタイミングでは特定の日を除いて関心が高まることはほとんどないということが見えてきた。