テーマ【3】SNSってテキトーだと炎上しそうだけど……。
炎上リスクをはらむSNSをテキトーにやっていようものなら、あっという間に炎上しそうだ。だが、「受け取る側」なら、テキトーくらいがちょうどよさそうだ。
千葉 「物事の振り分け」で思い出したのですが、今回は先生の前著の「クソゲー本(『人生がクソゲーだと思ったら読む本』のこと)」よりもSNSやインターネットに関する話題に触れることが多かったように感じました。
AIやディープフェイクなどの問題が顕在化している中で、「テキトー」だけでは対処できないこともかなり多いんじゃないかと思ってしまいます。どうでしょう。
先生 個人的にはそうではなく、むしろ今こそ〝テキトー思考〟があればもっと生きやすくなると思っています。AIやディープフェイクの登場で、より情報の取捨選択が重要になっているからこそ、「テキトーさ」がより大事になってくるかと。「その情報が真実か、そうでないか」という見極めのもっとその手前の「そもそも自分に関係があるか、ないか」で考えてほしいと思っています。
千葉 なるほど、自分に関係のない「他人事」は最初から目に入れなくてもいい、と。
先生 そんな感じです。ただ、完全に目に入れないのは難しいので、目に入った時に瞬間的に「あぁ、これ私に関係ないことだよね」と分別することが大事になると思います。
テーマ【4】テキトーな人ってモテる? モテない?
普段はテキトー、だけどやる時はビシッと決める……そんな「ルパン三世」みたいな人が、かなえ先生の理想像なんだとか。テキトーな人の魅力の正体とは?
千葉 かなえ先生がイメージする理想の「テキトーな人」は誰になるでしょうか?
先生 『ルパン三世』のルパンとか、『シティーハンター』の冴羽獠(さえば りょう)とかあの辺りですかね。芸能人で言うと、高田純次さんはリスペクトしてます。あの人たちが醸し出している余裕のある感じは、まさに私の理想とする「テキトーな人」そのものです。
千葉 テキトーな人って余裕がある感じの人ということなのでしょうか?
先生 ちょっと違いますね。これは本文に詳しく書きましたが、余裕があるからテキトーができるのではなく、テキトーだから余裕が生まれるという感じです。
千葉 その辺り詳しく聞きたいです!
先生 私の言うテキトーな人は情報の分別が上手なので、物事に対して本当に自分にとって大切なことを瞬時に見極め、そこに思考リソースを割くことができます。そこに無駄がないので、自然と余裕(余力)が生まれるのです。そしてその余力を他人のために使うこともあります。ルパンや冴羽獠のそんなところに惹かれている人も多い気がします。
【まとめ】結局「テキトー」ってどんな生き方なの?
かなえ先生の言う「テキトー」とは何も考えないわけではなく、「物事に優先順位をつけよう」ということ。そのノウハウを最後にまとめてもらおう。
千葉 改めて「テキトーな人」や「テキトーな生き方」とはどんなものなのでしょうか?
先生 「テキトーな人」とは「人生をラクに生きられるように自ら整えることができる能力を持った人」ですかね。「テキトーな生き方」は「情報や情報に付随する感情をしっかりと分別して、必要なところにまず自分のリソースを割くことができる生き方」かなと。
千葉 テキトーな生き方を実践して、良かったことはありますか?
先生 VTuber「犯罪学教室のかなえ先生」になってから、特に良さを実感していますね。凄惨な事件・事故や感情を激しく揺さぶられるような不祥事などを取り扱う時に「しょせん他人事」と事実と自分を切り離すことで冷静な解説ができています。
千葉 最後に読者へのメッセージなどはありますか?
先生 今回タイトルのパンチが強いですが、内容は中学生や高校生でも楽しく読めるようわかりやすくまとめたつもりです。また、重要なポイントは繰り返し作中に出てくるので普段読書の習慣がない人でも、要点はつかめるのではないでしょうか? 購入報告、待っています!
担当編集が明かす制作秘話
「一度も対面しないで本が一冊できちゃいました」
実は、かなえ先生の〝中の人〟とは一度も会ったことがありません。打ち合わせはいつもオンラインで、配信と同じ〝いつもの〟かなえ先生がZoomの画面内で動いている。最初は動くアニメ絵と話すことに違和感があったんですけど、今では全く気にならない。人間って慣れる生き物ですね。これもテキトー思考?(笑)
かなえ先生の前著『人生がクソゲーだと思ったら読む本』も好評発売中!
©夢乃とわ SDイラスト/紀羅わたり
※「教えてかなえ先生」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME4月号に掲載されたものです。