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【ヒャダインの温故知新アナリティクス】ねえねえ、結果「生」ってなんなんだよって話

2024.03.23

『生コッペパン』

 ファミリーマートの『生コッペパン』が爆売れしているらしいですね。コッペパンの生地に生クリームを配合してしっとりリッチな「しっとリッチ食感」を実現しているらしいです。実際食べてみたのですが確かに従来よりもパサつきが少なく食べやすかったです。そしてなにより常温保存で具材に焼きそばやエッグフィリングが入っており新世代のランチパックだなあ、なんて思って見ていました。

 が、「生」って何? コッペパンの「生」、とは。生牡蠣は熱を通していない牡蠣。生レバーはもう食べてはいけないやつ。ていうことは、火を通していないコッペパン? ただの小麦粉を練ったやつ? きもちわるい! いやいや。前述のとおり「生クリームを混ぜ込んだ」ということで「生クリーム」の「生」なわけですね。数年前に流行した「生食パン」も同じロジックでした。生クリームを配合したしっとり食パン。

『生コッペパン』

 でもなんかミスリードな感じもしませんか? 「生」って言われると新鮮なイメージ。でもその実は生クリーム、という。いつからこのやり口が始まったんだろうと記憶をたどると思い出したのが「生キャラメル」、そしてその先を進むと「生チョコレート」まで見えてきました。まず「生キャラメル」。2007年頃に大ブームになりましたね。田中義剛さんが経営する北海道の「花畑牧場」が作る生キャラメルが爆売れで、長蛇の列ができていたのを記憶しています。キャラメルに生クリームを配合したことでトロリとした食感が新しく、私も最初食べた時感動したもんです。しかしあの大ブームは戦略的にも上手でしたよね。芸能人である田中義剛さんの知名度、マスコミによる宣伝、そして何より手作りを強調して大量生産せずに売り切れ状態を多くしてプレミア化させてバリューが上がっていたイメージです。その後第2弾として変な形のチーズを流行らせようとしてたけどうまくいかないのを見て、2匹目のドジョウの難しさも教わったものです。

 さて。生チョコレートについてです。こちらも生クリームを配合したチョコレートを指すのですが、なんと日本発祥らしいんですよね(諸説あるようです)。1988年神奈川県の「シルスマリア」という洋菓子店で開発された、とのことです。ずっとベルギーとかの郷土菓子だと思ってた。独特の石畳型になっていたり、冷蔵保存しなきゃいけなかったりと高級感たっぷりで、食べるたびにスペシャルな気持ちになったものです。でも当時は冷蔵保存の件もあって「火を通していないチョコレート」と思っていたのは私だけではないはず。相手は全く悪くないんだけどなんだかだまされた気になっちゃうな。辞書の「生」の語釈に加えてほしい。≪生クリームを配合した食品のこと≫みたいな。まあ当てこすりですが。

お店で飲むビールも缶ビールも実は「生」

 さてここまでは生クリームの「生」を見てきましたが、ほかにもあるんです。そう、生ビール。ビールの「生」って何? フレッシュてこと? 調べてみたら、「加熱処理なしに酵母を完全に取り除いたビール」のことを指すようです。うん、これは生牡蠣とか生レバーと同じロジックですね。熱の有無。合点がいきます。しかし私は言いたい。世の中の人の多くが勘違いしているだろうこと。お店のサーバーから注がれた泡が乗ったジョッキのビールこそが生ビール、通称「生」で、缶に入っていて家で飲むやつは「缶ビール」で別物だと思っている人、多くないですか? あれって中身ほぼ一緒らしいですね。サーバーから注ぐのか缶から注ぐのかだけの問題で缶ビールも生ビールらしいですよ。よく見たら缶ビールにも「生」って書いてるもんな。あと最近よく見る「生しょうゆ」も加熱殺菌をしていない、という意味らしいです。

生ビール

『生コッペパン』のブームにより、とりあえず「生」と書いていればキャッチーになるんじゃないか、と個人的に思っているので2024年にどんな「生」商品が出るのか楽しみです。「生ヨーグルト」「生ミルク」「生コーヒー」「生いちご」もうわけわかめです。生わかめ。

文/ヒャダイン

ヒャダインの温故知新アナリティクスヒャダイン
音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名・前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。様々なアーティストへ楽曲提供を行ない、自身もタレントとして活動。

※「ヒャダインの温故知新アナリティクス」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME4月号に掲載されたものです。

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