VHS喫茶
スマホネイティブ世代に『写ルンです』が流行したり、レコードやカセットテープが再注目されたりと、昭和カルチャーが次々と注目を浴びる昨今。それらと同じ時代に、家庭用ビデオテープとして不動の地位を築いたVHSに着目したのが、東京・下北沢のカフェ『TAN PEN TON(タン ペン トン)』だ。運営するのは、映画レーベル「NOTHING NEW」。
「今後の日本の映画業界を担っていく若手監督による作品や、劇団ヨーロッパ企画主宰の上田誠監督など、ベテラン監督の初期短編作品を中心にVHSに焼き直しています。お客様には自由に作品を選んでいただいて、お茶をしながら鑑賞できるシステムの〝VHS喫茶〟です」(事業統括・下條友里さん)。客層は幅広く、Z世代から中年層まで。
「若い人たちは、カラフルでレトロかわいいビデオテープに〝モノ〟として愛着を持つようです。それが作品に対する愛着にもつながって、〝映画を観る〟というカルチャーを呼び戻すきっかけになればいいと考えています」(下條さん)
テープならではの粗い画質も〝いい味〟として受け入れられているというVHS。果たして、再ブームを巻き起こせるか?
今後は、近隣映画館とタッグを組んだ企画や、海外作家ものの展開、自社製作作品など、おもしろい試みも計画中。短編映画を観るひとつのフックとしての発信力に期待したい。
気鋭のクリエイターの作品がずらり
2023年10月12日オープン。全国の電器店やECサイトに残っている在庫をかき集めたVHSに、デジタル作品を焼き直した。
ブラウン管テレビが鎮座!
昔懐かしいブラウン管テレビとビデオデッキが設置されたカフェスペース。若者からは、「テープが吸い込まれていく!」と新鮮な驚きも。別コーナーには小型TVも設置。
〝映える〟フード&ドリンクも
自家製ソーダフロートやポップコーンなど、こだわりのカフェメニュー。SNS映えもバッチリ!
取材・文/坂本祥子