薄型、軽量で曲げられる！発電効率も高い「ペロブスカイト太陽電池」に秘められた可能性

ペロブスカイト太陽電池

　次世代太陽電池の本命とされるのが、ペロブスカイト型と呼ばれる結晶構造を持つ人工結晶から作られる太陽電池だ。

　現在主流の結晶シリコン太陽電池に比べて薄型・軽量で、塗布や印刷による量産が可能。やわらかく曲げられる、透明な製品が作れる、曇り空や屋内といった弱い環境光の下でも発電できるなど、メリットが多い。主な材料は国内で豊富に調達できる安価なヨウ素なので低コストも実現できる。

「現在は周辺素材にコストがかかっていますが、最終的に結晶シリコン太陽電池の半分以下になるでしょう」と話すのは、ペロブスカイト太陽電池の開発者のひとりである宮坂力桐蔭横浜大学教授だ。

　これまでも薄型で曲げられる太陽電池は存在していたが、結晶シリコン太陽電池に匹敵する発電効率を実現したことで、実用化への期待が大きくなっている。薄型・軽量ゆえに、住宅やビルの壁、自動車の屋根といったあらゆる場所に設置可能。都市部での設置が容易で、しかも送配電ロスもない。

「現在は5～10年程度の耐久性を向上させるために開発が進められており、将来的には結晶シリコン太陽電池から完全に置き換えられると思われます」（宮坂教授）

　メガソーラーを含めて従来の太陽電池を大きく変えるペロブスカイト太陽電池。2〜3年後にはスマホ用やアウトドア用のソーラーパネルなど、身近な製品として登場しそう。

フィルムタイプはフレキシブルに曲がってどこでも使いやすい！

災害に強く環境にやさしい！携帯電話基地局にも採用

KDDIは太陽電池で運用する「サステナブル基地局」にて、ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始。電柱に取り付けられるため、パネルを置く敷地がなくても導入が可能になった。

ガラス窓と一体になったペロブスカイト太陽電池も

パナソニックホールディングスは、ガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池を開発。神奈川県藤沢市の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」にて長期実証実験を行なっている。

取材・文／小口 覺