Googleからテレビ画面での視聴を考慮したYouTubeのデザイン変更を検討するブログが投稿されたので、概要をお伝えする。
以前に増して、昨今の視聴者は、家の中で最も大きなスクリーンであるテレビ画面で、vlog(動画ブログ)、ゲーム関連動画、スポーツのハイライトなど、お気に入りのYouTubeコンテンツを視聴している。
大画面でコンテンツを楽しめるYouTube ならではの視聴体験を構築
テレビを見る行為は受動的だと長く考えられてきたが、一方でくつろいでお気に入りの番組を楽しむという体験でもある。
そこでYouTubeでは、大画面でコンテンツを楽しむことができる、YouTube ならではの視聴体験の構築に取り組み始めた。
近年では世界中で、1日のテレビの総視聴時間が10億時間を超えている。そうしたなかで YouTubeは、どうすれば動画を視聴体験の中心に据えながら、YouTubeでおなじみの機能や双方向性をリビングルームで体験してもらえるか、という興味深い課題に取り組んでいる。
■集中とリラックス
視聴者は、気が散ることなく、自分でコントロールできるテレビ体験を求めていることがユーザー調査を通じて判明。これを念頭に置き、双方向性と没入感の最適なバランスを保ちながら、リビングルームでの過ごし方を模索した。
彼らが検討を始めたのは、動画プレーヤーのサイズを小さくして操作をシンプルにすることで、コメント欄などを動画の横に表示させ、使いやすくするという案。
この案は、YouTubeの優れた点をそのままリビングルームに持ち込むアプローチの基礎となった。今後数週間にわたって展開されるこの新しいデザインは、既存の動画説明やコメントの表示を強化するだけでなく、お気に入りのクリエイターがおすすめしている商品の購入や、スポーツファンへの試合経過の表示など、さまざまな新しい体験への入口にもなる。
■バランスを取る
操作できる機能を増やしたいという視聴者からの要望がある一方で、YouTube の核になっているのは、動画コンテンツなので、動画の主要操作(一時停止、巻き戻し、早送り)は、これまでどおり簡単かつ直感的に使えるようにしなければならない。
そこでYouTubeではユーザーの操作で必要になる手順の数を基準に、シンプルなもの(トグルボタンをオン / オフにする)から、中程度のもの(動画プレーヤーで簡易版のコントロールを有効にする)、複雑なもの(小さなプレーヤーのウィンドウ上で、すべてのコントロールにアクセスできる)まで、複雑さの異なる一連のプロトタイプを開発した。
こうした 3 種類のプロトタイプを、リモコンで操作しながらテレビ画面でさまざまなコンテンツを視聴したユーザーからフィードバックを集めて分析した結果は以下のとおり。
・新しいデザインは、動画そのものと同等、もしくは動画よりも高い関心を必要とする機能(コメント、動画の説明、チャットなど)に対して有効であるが、動画が見づらくなり、その結果として視聴体験を損なう可能性がある。
・簡易版のコントロールの追加導入に際しては、引き続きシンプルさを優先する必要がある。
・ライブチャットや動画の説明などの機能にもたらされるメリットは没入の度合いに応じて異なるため、統一的なデザインが最良であるとは限らない。
今回の調査について同社では「私たちは各プロトタイプのユーザビリティを判断するとともに、今回のデザインが、インタラクティブな体験をテレビ画面で実現できるかを、より深く把握することができました」とコメントしている。
■動画をメインに配置、視聴体験を妨げない程度に各機能へアクセスできるデザイン
最終的に着地したのは、動画をメインの位置に配置しつつ、視聴体験を妨げない程度に YouTube のユニークな機能にアクセスできるデザインを兼ね備えたもの。
動画の視聴時にコメントが読みやすくなるよう、動画のサイズを小さくしてほしいという意見が、テスト中にユーザーから寄せられており、同社では「このデザインによって、チャプター、注目プレイ、ショッピングなどの機能をユーザーがテレビ画面で直接、より深く利用できるようになることを期待しています」とコメントしている。
関連情報
https://youtube-jp.googleblog.com/2024/03/designing-a-richer-youtube-experience-for-your-tvs.html
構成/清水眞希