今後の取り組み
萬古焼の存続のために、萬古陶磁器工業協同組合ではいくつかの対策が練られているという。
「対策のひとつとして、ペタライトをいかに少なく有効に使い、耐久性を保てるかという研究をしてもらっています」
三重県工業研究所では、ペタライトの配合量を減らす研究開発を以前から行っているとのこと。具体的には、ペタライトを現在の2分の1程度に減らしつつ、耐久性などの性能を維持する試験を行なっている。
「今すぐに、ペタライトを全く使わないで土鍋を作るのは難しいです。60年以上かけて培ったノウハウがあるので」
しかし、今後に備えてペタライトを使わない方法も模索しているという。
「ペタライトを少なく有効に使う方法を探るのと並行して、別の鉱物も試しています。今のところはコージライトなどに可能性を見出しています」
昭和30年代中頃にペタライトを使い始めた頃も、5年?7年ほどかけて試行錯誤した末、うまく使えるようになったのだとか。今すぐには難しくても、新しい素材も数年かければ使いこなせる可能性があるという。
また、上記の対策と同時進行しながら、ジンバブエ以外のペタライトの供給源も探っているとのこと。
「カナダやブラジルでもペタライトは産出されています。
ジンバブエのように鉱山として稼働してはいませんが、何年か先に供給源となる可能性はあります」
行政の力を借りつつ、情報収集を行なっているという。
萬古焼の土鍋の品質維持
旅館やご家庭で使用される萬古焼の土鍋は、全盛期と比べると出荷量は減ってはいるものの、購入者からの評判は良い。
「現在の萬古焼の土鍋は、耐久性があり使いやすいとの声をいただいています。そんな自慢の品質を落とさずに、これからも土鍋を生産していきたいと思っています」
寒い季節に心身を温めてくれる鍋料理は、日本の大切な食文化のひとつ。そんな鍋料理に欠かせない土鍋が手に入りにくくなってしまうことは、なんとか避けて欲しいものだ。
ペタライトの輸入状況を含め、土鍋業界の今後の動向に注目したい。
取材協力:銀峯陶器株式会社
URL:https://ginpo.co.jp
取材・文/まなたろう