誰もが何かしら、『やめたい』と思っているのになかなか『やめられない』悪習慣を持っているもの。その悪習慣をゾンビ習慣と呼び、やみつきさせる脳の仕組みを解明、「エモーションシフト」という新メソッドを用いて、「今度こそ」やめられるコツとワザをわかりやすく解説した新刊が『「やめられない」を「やめる」本 -脱・依存脳-』が話題だ。
著者の山下あきこさんは、25年に渡り、脳神経内科の専門医としてさまざま疾病の診療にあたってきた。扱う疾病や症状は主に脳梗塞や認知症、頭痛、めまい、しびれなど。そして、その多くが、飲酒や喫煙、夜ふかしなど、「やめたいのにやめられない」悪しき生活習慣が原因になっているという。
最後に同じような悩みを抱えたDIME 編集部員が登場。『「やめられない」を「やめる」本―脱・依存脳―』の著者、山下あきこ医師に、それぞれのゾンビ習慣についてアドバイスしてもらった。
Q1|不規則生活で肥満気味です
「万年ダイエッターです。かわいい娘たちにとってカッコいいパパであり続けるため、食事制限したり、歩いたり、いろいろがんばるのですが、続きません。成果を上げるコツはないでしょうか」
本誌デスク・チバ
A1
「一番のポイントは、協力者や仲間を見つけることです。私の患者さんで3か月で約10kgのダイエットに成功した方がいらしたのですが、その方は弟さんと一緒に運動したり、食事を考えて変えていったことで、うまくいったそう。1人でやってもなかなかうまくいかないことも、仲間がいると刺激になるし、がんばれる。考え方のコツもありますが、人の協力に勝るものはないと思います」
Q2|ついお酒を飲みすぎる
「ともかくお酒が大好き! ストックは欠かさず、ほぼ毎日飲んでいます。お酒は食事をおいしくするし、がんばっている自分へのご褒美でもある。ただ最近、肝臓の数値がちょっと気になるんです」
@DIME編集・オビツ
A2
「お酒を飲む時間がリフレッシュになっているのであれば、完全に断酒する必要はありません。ただ『ストックが減ると注文してしまう』というのは依存に片足つっこみかけている状態。体のダメージ的にも休肝日は作ってほしいですね。例えば、運動してスカッとしたら、お酒を飲まずにすんだりしませんか。お酒は適性飲酒が大事。そういう飲酒に代わる別のいい習慣を増やしていけば、飲まなくていい日も増えてきて、健康度も上がりますよ」
Q3|夜ふかしで睡眠不足に
「寝る前の動画視聴が何よりの楽しみ。翌朝早い取材があっても、つい夜中まで見て、寝不足に。いい加減にしたいと思いつつ、つい先延ばしになっています」
本誌編集・テラダ
A3
「様々なコンテンツがある動画は情報収集やリラックスに役立つものも多くあります。ただそれで寝不足になったり、睡眠の質が悪くなると日中のパフォーマンスも下がります。ずっと見ないではなく、まずは1日やめてみる、というスモールスパンで考えてみては? それが達成できて、早めに寝られるようになると、日中の体調の良さを感じるようになり、喜びや自信になります」
Q4|やめられない夫をどうにかしたい
「夫が買い物依存です。常にネットを見ては安いから、と買い物をします。実はギャンブルも大好き。とはいえ、注意すると逆ギレされるし、最近は諦めモードです。このように家族の依存をやめさせるにはどうしたらいいですか」
本誌編集・ハラグチ
A4
「私は、自分のことは変えられても、自分以外の人の性格や行動は、変えられないと思っています。ですから、『やめてよ』と言ったところで無理。自分が困らないのであればほっておいていいと思いますが、どうしても心配であれば『私はあなたのことが心配だから、やめてほしい』というように『私』を主語にした『i(アイ)』メッセージで伝えてみてはどうでしょう。相手が変わらずとも、気持ちを伝えることは大事。それが思いやりでもあります」
Dr.あきこからのアドバイス
「やめたら手に入る幸せがあることを忘れずにいてほしい! 今、握り締めているものを手放せたら、またほかにつかめることがあります。でもそれは、手放さないと入ってきません。やめたら手に入る新たな楽しみや幸せがあることを知って、〝やめる〟に挑戦してほしいですね」
取材・文/山下あきこ、編集部
『「やめられない」を「やめる」本 -脱・依存脳-』
著/山下あきこ(脳神経内科専門医)
脳神経内科専門医が豊富な診療経験から得た知見やエビデンスをもとに、やめられない悪習慣=ゾンビ習慣を引き起こす脳の仕組みを解説。「エモーションシフト」の新理論を活用した、依存脱却のヒントとアドバイスを行なう。実際の診療事例をベースにした10人10通りの脱・依存の物語も必読!