スナック菓子などの超加工食品は32種類の有害な健康アウトカムに関連、ディーキン大学研究報告

超加工食品は32種類の有害な健康アウトカムと関連

超加工食品を大量に摂取する食生活は、早期死亡、心血管疾患、がん、精神障害、肥満、2型糖尿病などの32種類の有害な健康アウトカムと関連するというアンブレラレビューの結果が報告された。ディーキン大学（オーストラリア）Institute for Mental and Physical Health and Clinical TranslationのMelissa Lane氏らによるこの研究結果は、「The BMJ」に2月28日掲載された。

超加工食品には、スナック菓子、砂糖入り飲料、インスタントラーメン、甘いシリアル、調理済み食品などが含まれる。これらの食品は、風味を良くし、保存期間を長くするために複数の工業的工程を経て作られており、乳化剤、着色料、化学調味料などの添加物を含む。研究の背景情報によると、残念なことに、高所得国では超加工食品が1日の総エネルギー摂取量の最大58％を占めており、低・中所得国でもその割合は増加しているという。

Lane氏らは、過去3年以内に発表された14件のメタアナリシスに含まれていた総計45件の研究データを統合して、超加工食品の摂取と有害な健康アウトカムとの関連を検討した。対象者の総計は、988万8,378人に上った。研究グループは、再解析により得られたエビデンスのレベルを5段階に、またその質を4段階に分類した。

その結果、超加工食品の摂取量の多さは、32種類の有害な健康アウトカムのリスク増加と関連することが明らかになった。確実な（convincing）エビデンスとして、超加工食品の大量摂取により、心血管疾患関連の死亡リスクが50％、不安のリスクが48％、一般的な精神障害のリスクが53％、2型糖尿病リスクが12％上昇することが示された。また、2番目に強力な（highly suggestive）エビデンスとして、超加工食品の大量摂取によりあらゆる原因による死亡リスクが21％、心疾患関連の死亡リスクが66％、2型糖尿病リスクが40％、抑うつリスクが22％、睡眠関連の有害アウトカムリスクが41％、喘鳴リスクが40％、肥満リスクが55％上昇することが示された。これに対し、超加工食品の摂取と喘息、消化管の健康、いくつかのがん種、血管脂質高値や善玉コレステロール低値などの心代謝リスク因子との関連は限定的であった。

研究グループは、「このような健康への悪影響は、必ずしも超加工食品の摂取のみに起因するわけではない」と強調しているが、「製造過程で食品に加えられる変更が、消化、栄養吸収、満腹感に影響を与える可能性がある」と述べている。そして、最近の研究で、人工甘味料、乳化剤、着色料、硝酸塩や亜硝酸塩などの食品添加物が健康上の不良なアウトカムと関連することが報告されていること、また、食品の大規模かつ効率的な加工により慢性炎症の原因となる有害物質が生成される可能性や、食品パッケージからの有害物質が食品に混入する可能性が指摘されていることにも言及している。研究グループは、食品メーカーに対して、「このような製品の成分を考え直すよう圧力をかけることはできるが、それで害がなくなるとは限らない。また、最大利益を追求するという食品メーカーの目的が、栄養価の高い食品への切り替えを抑制してしまう」と説明する。

こうしたことを踏まえて研究グループは、規制当局や政策立案者に対し、1）包装前面栄養表示、2）広告の制限、3）学校や病院の近くでの販売禁止、4）新鮮で未加工か加工度の低い食品の入手の促進、の観点から超加工食品を取り締まることを推奨している。（HealthDay News 2024年2月29日）

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（参考情報）
Abstract/Full Text
https://www.bmj.com/content/384/bmj-2023-077310
Press Release
https://www.bmj.com/company/newsroom/consistent-evidence-links-ultra-processed-food-to-over-30-damaging-health-outcomes/

構成／DIME編集部