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AIで機器連携、データ活用の加速、CES2024から読み解く「スマートホーム」の現在地

2024.03.12

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

スマートホームは生活シーンを主体としてネットでつながる「連携」重視に

LIVING TECH協会」会員企業である「X-HEMISTRY」の主催で、2024年1月に米国ラスベガスで開催された世界最大の電子機器見本市「CES 2024」の、スマートホームを中心とした報告会が開催された。

日本でスマートホーム事業に関わる4名のスピーカーが、CES 2024から見えたスマートホームやスマート家電トレンドを語った。今回はスピーカーの一人、ライフテックコーディネーター・織田未来氏の報告を紹介する。

【織田未来氏 プロフィール】
データで人の価値を最大化することをミッションにした「プレイド」にて、Project Acceleratorとして活動。 個人としては生活のスマート化を推進し、普段の生活から気づいた簡単で実用的なテクノロジーの組み合わせを考えるライフテックコーディネーターとして「スマートライフレシピ」というnoteを通じて情報発信もしている。

自宅のスマートスピーカーは9台あり、さまざまなセンサーも家中に配置しているという織田氏。エアコン、照明、プロジェクター等のさまざまなデバイスがネットと繋がっており、40~50ほどのデバイスがオンラインになっているという。

「こんなにあるとコントロールが大変です。いろいろと工夫しながら、スマートフォンアプリを、一つに集約していきたいという気持ちもありまして、自分の実体験からいろいろなテクノロジーをどうやって生活に取り入れたらいいのかと日々考えています。

CESに参加したのは初めて。仕事ではなく個人的に興味をそそられ、スマートホームの現在地を一般ユーザーの目線で見たいなと参加しました」(以下、すべて織田氏談)

〇先を行く「連携」~デバイスそのものではなくつながりを意識

印象深かったのが、デバイスそのものを見せるというよりも、デバイス同士のつながりを意識していた展示でした。

「LGエレクトロニクス」はエネルギーマネジメントのテーマが目立っていました。「ハイセンス」「SAMSUNG」「BOSCH」も同様でしたが、発電したものをいろいろな機器に繋いでAIがうまくコントロールしていく、エネルギーマネジメントの提案を多く見かけました。

SAMSUNGの展示もテーマで見せていて、「家族の安全を守る」では、大きなディスプレイを使って、複数のデバイスがつながる動画を紹介していました。端末メーカーやデバイスに特化するのではなく、「安全、見守り、防犯の観点からこのような組み合わせを実現します」と提案し、ソリューションで見せるという展示です。同様の展示はそのほかのメーカーでも多く見受けられました。

SAMSUNGが展開するGalaxyデバイス同士をつなぐネットワークシステム「SmartThings(スマートシングス)」のコーナーは、様々なメーカーのデバイスを種類ごとに展示していて、防犯カメラだったり、スイッチだったり、スピーカーだったり、いろいろなものがつながるということが一目でわかり、それらが全てSmartThingsの中でまとめられていたのが印象深かったです。

生活シーンを主体に、連携を大前提とした提案が多かったという印象です。エネルギーマネジメントの文脈を加えながら、詳しい技術や規格の話抜きで、ライフスタイルに溶け込ませようとする段階になっていると感じました。

AIの活用も目立ち、デバイスがつながりデータが集まった先に、AIをうまく絡めて「解釈」をして、アウトプットするところまで進んでいます。

SmartThingsしかり、日本でまだ展開されていないデバイスが多く見受けられました。

〇センサーの充実~状態をより詳細に把握する

センサーは特にミリ波センサーの展示が多かったと思います。人が通過したら反応する人感センサーとは異なり、ミリ波センサーはそのエリアを指定してトリガーができるというものです。スマートホームにおける選択肢のひとつとして、様々なメーカーが実用例を提案していました。

UWB(超広域帯)を使った距離測定の活用もありました。スマートロックで近接したときに聞くのはもちろんのこと、例えばテレビとスピーカーの距離を正確に認識したり、デバイス同士の距離を検知しながら、最適化する用途でも広く使われそうです。

これらのセンサーを活用することで、細かい動きに基づいた活用の提案が現実的になってきました。ベッドに入ったとき、ソファに座っているとき、転倒したときなど、位置や状態をつぶさに見ることが可能になっています。

〇スマートホームの浸透~生活空間の選択肢に自然と入り込む

DIY大手の「ホームテポ」と家電の「ベストバイ」を見ました。ホームテポでは、DIYのパーツを売りながら、照明コーナーにはスマート照明が多くありますし、照明のスイッチもスマートライトコントロールがたくさん置かれています。ドアベルや防犯カメラもしかりで、ネットとつながるのが前提みたいな印象でした。

日本ではDIY関連を販売する店舗で、スマートデバイスと結びつけるということはあまり見かけませんが、米国では当たり前のように展示されているのは驚いたところです。

家電量販店の「ベストバイ」では、スマートホームというコーナーもしっかり存在しますし、スマートスピーカー群も置いてありました。入り口を入ったらスマートフォンのコーナーとスマートホームのコーナーが並んで展示され、アメリカのどんな田舎でもこのレイアウトで置いてあります。アメリカではスマートホームがきちんと確立していることは印象深かったです。

電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機など家電もネットにつながるのがもはや基本。テレビはメーカーではなく、Google TVとかFire TVとか、OSベースの区切りでの展示もありました。

〇日本とのスマートホームに関する現在地の違い

私が感じた日本と先進国のスマートホームに関する現在地の違いを図式にしてみました。家電のリモコンが単独で動くもので手動、そこから連携で動く専用のアプリが出てきて、さらにプラットフォームで操作できるスマートスピーカー、その先に、体につけるモニタリングデバイスとセンサー系が繋がりつつ、まとめる形でデータに基づいたAIの活用となります。

海外ですと、データに基づいた解釈を「家」という単位で見て、様々なものに繋げていくところまで進んできていますが、日本はまだプラットフォームで操作することが現在地かと思います。日本と海外のフェーズの違いを実感しました。

CESでは日本のプレゼンスがそんなに大きくないという印象で、もうちょっと頑張ってほしいなと感じました。しかし実際には、ハードウェアの技術はそんなに遅れている感じがなく、日本のエアコンとかエネルギーマネジメントも素晴らしいのですが、やはりソリューションの見せ方が、韓国とかアメリカ、中国といった海外勢と大きな差があると感じました。

また、海外勢はリスクに果敢に挑戦しているというのが印象に残りました。こういったところも日本も頑張れる余地があるのではないかと思っています。

【AJの読み】スマートホームに対する日本と海外の彼我の差が顕著に

報告会主催者のX-HEMISTRYでは、CES 2024のスマートホームに特化した報告書「CES 2024 スマートホームレポート」の販売を行っている。本報告書は、CES 2024で発表された注目技術やトレンドを、現地で撮影した写真や映像と共に、スマートホームで形作る未来の可能性を秘めた革新的な製品やサービスを多数紹介している。

今年は日本のスマートホームの未来を左右する統一規格「Matter」、鍵の統一規格「Aliro」、「SAMSUNGの台頭」「AI」などについて、X-HEMISTRY独自の視点で解説しているのが特色。

「AIは使い勝手の部分があると思いますが、AIはこれからのスマートホームの戦いの領域に入ってくると思います。織田さんのレポートにもあったように、当たり前のようにいろんなものがつながっていればこそ、初めてスマートホームの世界観に行けるんです。

そう考えると、日本はずっとスマートホームに躊躇している市場になってしまって、今回のCESでは、うかうかしていると本当にスマートホーム後進国になってしまうという思いを強めました」(X-HEMISTRY 新貝文将代表)

文/阿部純子

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