ChatGPTなど対話型生成AIの利用経験
対話型生成AIとは、音声やテキストで質問を入力すると、対話するように自然な文章で応答することができる人工知能を指す。
ChatGPTなどの対話型生成AIを「学校」で利用したことがあるかをきいたところ、「ある」と回答した人の割合は、小学生では9.8%、中学生では16.2%となった。
また、対話型生成AIを「家庭」で利用したことがあるかをきいたところ、「ある」と回答した人の割合は、小学生では12.5%、中学生では16.5%という結果に。
学校からタブレットやパソコンが支給されている割合は全体で87.4%!自宅に毎日持ち帰って使っている人の割合は?
通っている学校でタブレットやパソコンが支給されている割合は全体で87.4%であった。
使用状況・様子をきいたところ、「支給されていて、自宅に毎日持ち帰って自分でも使ってもいる」(26.0%)が最も高くなり、「支給されていて、自宅にたまに持ち帰って自分でも使ってもいる」(18.3%)、「支給されていて、自宅に時々持ち帰って自分でも使ってもいる」(16.1%)が続いた。
支給されているデバイスを自宅に持ち帰って使っている人が多い一方、使用頻度が低い人もいるようだ。
学年別にみると、支給されている割合は高学年で高くなる傾向がみられ、4年生94.0%、5年生90.0%、6年生92.5%であった。
中学生が行っている“ふだんの学習”や“定期テスト対策”
学習方法を提示し、それぞれ“ふだんの学習”や“定期テスト対策”として行っているかをきいたところ、「行っている」人の割合は、「先生が指定した学習参考書や問題集に取り組む」が80.3%と最も高くなった。
その他「テスト対策専用のまとめノートを作る」が61.2%、「塾の先生や家庭教師が指定した学習参考書や問題集に取り組む」と「教科書を音読する」が53.7%、「暗記用語をノートにたくさん書いて覚える」が53.0%、「市販の学習参考書・問題集を買って解く」と「授業用のノートを赤シートで確認する」が50.8%で続く。
また、「アプリで勉強する」は42.0%、「動画サイトのテスト対策系コンテンツを観る」は36.2%、「自分で問題を作ってみる」は25.2%と、半数を下回っていた。
調査概要
調査タイトル:小学生・中学生白書 小学生・中学生の学習・学校生活に関する調査
調査対象
(小学生調査):ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする小学生の子どもを持つ20歳~59歳の保護者
(中学生調査):ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする中学生の子どもを持つ20歳~59歳の保護者
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年10月27日(金)~11月1日(水)の6日間
有効回答数:(小学生調査):1,200サンプル、(中学生調査):600サンプル
実施機関:ネットエイジア株式会社
関連情報
https://www.gakken.jp/kyouikusouken/
構成/Ara
スタンフォードでAIを学ぶ医師が99×99までの2ケタかけ算をかんたんに暗算できる算数ドリルを作った理由
「VUCA」というビジネス用語がある。変動性、不確実性、複雑性、曖昧性を指す英単語の頭文字をとった造語で、AIなどの社会実装によってビジネス環境が大きく変化していることを示す。この予測困難な社会の到来を見据えて2020年3月、文部科学省は学習指導要領「生きる力」を公示。これを機に、中学受験算数の難化が囁かれるようになった。
中学受験は、受験者数が増加傾向にあるなど、競争激化の渦中にあるもののひとつだ。そして高まる受験熱は、新たなトレンドを生んだ。2ケタ同士のかけ算で使える、暗算ドリルが続々登場しているのだ。
そんな数ある暗算ドリルのなかで大きな話題を呼んでいるのが、昨年12月に発売された小学生向けの暗算ドリル『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』である。
『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』
岩波邦明・著
『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』では、この本で初出となる「あゆみ算」を扱っている。
「あゆみ算」とは、最先端のAIを学ぶ現役スタンフォード生でもある岩波邦明医師が独自に考案した画期的な暗算法のこと。
東京大学医学部在学中に開発・出版し、累計発行部数66万部のベストセラーを誇る『岩波メソッド ゴースト暗算』から、およそ12年の歳月を経て開発した最新メソッドなのだ。
最新メソッド「あゆみ算」では、脳のワーキングメモリに着目している。計算する際に頭の中で扱う数字の数を減らすことで、2ケタ×2ケタの暗算を簡便化。筆算よりも速くかつ正確に2ケタ同士のかけ算が暗算できるだけでなく、「最短の工程で暗算できるから、誰でも簡単にマスターできる」「問題を解くたびに情報処理能力(プログラミング脳)がグングン育つ」など、さまざまなメリットがあるという。
どうして岩波医師は新たな暗算メソッドを開発したのか? そのきっかけは、スタンフォード大の大学院コースで最先端のAIを学ぶ中で「AI開発に数学が不可欠」という確信を得たことにあると話す。
スタンフォード大学で医療用AIの開発に挑む
岩波邦明さん/医師・現役スタンフォード生。1987年生まれ。東京大学医学部卒。在学中に暗算法「岩波メソッド ゴースト暗算」を開発。著書は66万部を超えるベストセラーに。
――岩波先生は現在、スタンフォード大学でAIの勉強をしています。医師でありながらAIを学ぶ理由をお聞かせください。
2022年11月、オープンAI社が生成AIのChatGPTを公開し、世界中に衝撃を与えました。私も衝撃を受けたひとりで、大きな衝撃を受けたと同時に、生成AIの世界に興味が湧いたのです。
翌年2月頃からプログラム言語やAIの勉強を始め、現在はスタンフォード生として大学院コースを受講しています。
――最新のAIについて勉強するなかで、気づきがあったそうですね。
はい。生成AIは100%数学でできていると言っても過言ではない。そんな確信を得ました。高校数学の分野でいうと、微分や確率、ベクトルですね。数学が生成AI開発の根幹部を支えているのです。
「数学を勉強しても将来、何の役にも立たない」という言葉をよく聞きますが、数学は世界の最前線を切り開くために必須な知識だと改めて気づきました。
――「生成AIが数学でできている」とはどういうことでしょうか?
例えば、ChatGPTはどうやって回答を導き出すのでしょうか。「今日の天気は?」という質問に、天気に対応する言葉群から答えを選んでいると考える人は多いと思いますが、実際は違います。
確かに昔はそのようなプログラムだったこともあります。しかし現在の生成AIは、数式によって確率的に最も正しい〝らしい〞ものを選んでいるのです。
開発のステージでは、この回答の精度を向上させるために、微分を用いて数十億、多いときには数千億ものパラメーターを調整しているのです。この調整によって、いわゆるAIの賢さが決まります。
――数式で導き出すということは生成AIに学習させる段階で、数字で学習させるのでしょうか?
そのとおりです。生成AIのひとつであるChatGPTは〝言語〞ではなく言語を〝数字〞に置き換えてデータを蓄積します。そのおかげで生成AIは、それぞれの言語モデルを習得させる必要がなくなります。ChatGPTが英語だけでなく日本語やほかの言語でも高い性
能を発揮できるのは、それが理由のひとつだと考えられます。
――先生はAIを勉強した先に、どのようなビジョンを思い描いているのでしょうか?
医療用の生成AIを開発したいと思っています。例えば、医療画像を生成するAIです。X線写真を学習させた画像生成AIがあれば診療、研究、教育など多分野で活用できるようになるでしょう。自閉症の人たちをサポートする対話型AIの開発も考えています。ジョブインタビュー(就職面接)の練習やアドバイスをしてくれるAIがあれば、自閉症の方々の生活を大きく助けることができるでしょうし、そういった医師という仕事に直結する生成AIの開発ができればと、精進しています。
『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』では、2ケタ同士のかけ算全8100パターンに対応する新しい暗算法「あゆみ算」ほか、6つの暗算法「ラッキーあゆみ算」を収録している。