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小1の壁とは、子どもが小学校に進学する際に親が直面する社会的な問題のこと。学童保育の預かり時間が保育園よりも短いことから、主に共働きの家庭において直面することが多い。そのため、毎年新年度を迎える時期になると、「小1の壁」に頭を悩ませる親は少なくない。
本記事では「小1の壁」が発生する原因と対策、退職を判断する前に考えるべきことについて解説する。退職の前にできる対策はいくつか考えられるので、ぜひ参考にしてほしい。
小1の壁とは
保育園では、延長保育によって子どもをある程度遅い時間まで預かってもらえるケースが多い。一方で、小学校に通う子どもを放課後に預かる学童保育は、18時頃に閉館するのが一般的。親が共働きの場合、18時頃までに子どもを迎えに行くのが難しいという家庭は少なくない。特に小学校1年生の子どもは、一人で帰宅させたり、留守番をさせたりするにはまだまだ不安な年齢だ。
このように子どもが小学校に入学した際に、主に共働きの家庭が直面する社会的な問題のことを「小1の壁」という。
■1年を通して発生する小1の壁
「小1の壁」は小学校入学時だけではなく、一年中つきまとう悩み。親は季節ごとに違った課題に直面し、頭を悩ませることになる。
例えば、子どもが小学校に入学する春は、入学式をはじめ、保護者会や授業参観、PTA活動など、保護者参加の行事が増えるため、仕事のスケジュール調整が求められる。夏の長期休暇が開始すると、朝から学童保育に子どもを預ける親も多いが、給食の提供がない学童保育では、毎日お弁当の用意が必要となる。過ごしやすい秋になると、授業参観や運動会、遠足などの行事を開催する学校が増える。冬にはインフルエンザなどの流行によって学級閉鎖となることも珍しくないほか、冬休み期間中も学童保育へ持参するお弁当が必要となる。
■小1を乗り越えた後に直面する小4の壁
小1の壁を乗り越えると、今度は「小4の壁」に直面する可能性もある。「小4の壁」とは、子どもの成長とともに親が直面する以下のような悩みのことを指す。
【「小4の壁」の例】
・学童保育が小学3年生で終了する
・勉強の難易度が上がる
・塾や習い事をする子どもが増え、学力などに差が開きはじめる
・精神的な成長から友達関係で悩みはじめる
悩みの種類や深刻度は置かれた環境や子どもの性格などによっても変わるが、小学4年生になると、小学1年生の時よりも悩みが複雑化しやすい。お弁当や預かり先の悩みだけでなく、人間関係や勉強に関する悩みも出てくるだろう。
この時期には、より一層子どもに寄り添い、学校生活を支える意識が大切になる。小4の壁についても、早めに対策を考えておくと良いかもしれない。
■小1の壁で退職する前に考えること
お弁当作りや勤務先に対する休暇申請の頻度、子どもだけでなく自身への負担も考慮し、退職を検討する人もいるだろう。もちろん、退職をするのも立派な手段の一つだ。しかし、退職の判断を早まってしまったことで後悔しないためにも、いま一度退職のメリットとデメリットについて把握しておきたい。
■メリットとデメリット
子どもの小学校入学に合わせて退職するメリットとしては以下のようなものが挙げられる。
・送り迎えの付き添いができる
・子どもを自宅でゆっくり休ませられる
・忙しい朝の時間帯にお弁当作りをする負担を減らせる
・PTA活動や行事に余裕を持って参加できる
・心身ともに余裕ができる など
一方、退職することによるデメリットは以下の通りだ。
・退職した分の収入が減る
・職場での会話がなくなり孤独を感じやすい
退職をすると子どもの安全面や、小1の壁に対する精神的・体力的な不安をカバーできる。一方で、家庭の金銭的な不安やストレスが増える可能性があるため、安易な判断は避けなければならない。しっかりと夫婦・家族間で話し合って決定しよう。
小1の壁を乗り越えるための対策とは
退職をするとメリットが得られる一方で、経済的な不安が拭えないという人も多いのではないだろうか。小1の壁の乗り越え方は、退職する以外にもいくつかある。退職に踏み切るのが不安な人はぜひ参考にしてほしい。
■働き方を変える
感染症の流行を皮切りに、在宅勤務が浸透しつつある。また、雇用契約以外にも、業務委託で働くなど働き方の選択肢はいくつかあるため、一度求人情報をチェックしてみると良いだろう。
正社員から非正規雇用や業務委託に働き方を切り替えた場合、収入が低くなる可能性もあるが、時間の融通は利かせやすくなるケースも多い。フルタイムの正社員として働いている場合、時短勤務に切り替えるなど、勤務形態を見直すだけでも幾分か不安は解消されるだろう。
■残業をやめる
残業によって退勤時間が遅くなっている場合、可能な限り残業をやめるように試みるのも手段の一つだ。家庭の用事が定時の退勤で間に合うようなら、上司・上長に残業について相談してみるのも良いだろう。
■地域の学童保育を調べる
公的な学童保育は、閉館時間が17時から18時前後となっていることが多い。このため、子どもの預かり時間で悩んでいる場合は、民間の学童保育を探すのも有効だ。
民間の学童保育は、公的な学童保育よりも利用料金がやや高い傾向にある。しかし、施設によっては20時から21時前後まで延長できるところも多く、退勤時間が遅い家庭では大きなメリットとなるだろう。
■パートナーや職場へ相談する
もしも、小1の壁について一人で悩んでいるのなら、まずはパートナーに相談してみよう。夫婦の働き方や子育て、家事の分担などについていま一度話し合いをすることで、ベストな選択が見つかるかもしれない。
また、働き方については職場へ相談することで柔軟に対応してくれる可能性もある。在宅勤務や時短勤務への切り替え、就業日数の変更など、事情を説明したうえで上司に相談をしてみるのも良いだろう。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部