Netflixの転機(3) 動画ストリーミングサービスの成功とオリジナルコンテンツ
現在のNetflixはストリーミングサービスへと移行していますが、ストリーミング配信が始まったのは2007年のことです。時代を先取りしたサービスが受け入れられるのか、当時は疑問の声が多くあったようですが、その後、2011年末にはストリーミング事業の売上がDVDレンタル事業の売上を超え、ストリーミングサービスの普及とともにNetflixはさらなる飛躍を遂げていきます。
またオリジナルコンテンツの制作にも乗り出し、巨額の制作費用によって数々のヒットドラマを生み出します。最初に大ヒットしたオリジナルドラマがお馴染みの「ハウス・オブ・カード」です。
ドラマのヒットがNetflixの会員数の増加へと繋がっているのです。
もしも10年前にNetflixの株を購入していたら?
もしもNetflixの株を購入していたらを想定して、過去の売上高や株価を見ていきます。
たとえばストリーミング事業を開始した2007年の売上高は12.1億ドル、2011年に海外進出を開始して売上高は32億ドルに成長します。また日本でもサービスを開始した2015年の売上高は67.8億ドル、そして2023年の売上高は337億ドルと創業以来の最高額となっています。
では株価の変遷をいくつか見ていきましょう。
・2007年1月1日時点の株価3.259ドル
・2011年1月1日時点の株価30.58ドル
・2014年1月1日時点の株価58.48ドル
・2018年1月1日時点の株価270.30ドル
・2020年1月1日時点の株価345.09ドル
・2021年1月1日時点の株価532.39ドル
・2022年1月1日時点の株価427.14ドル
・2023年1月1日時点の株価353.86ドル
・2024年1月1日時点の株価564.11ドル
2020年3月のコロナ禍により外出が難しくなった時期に会員数が急増し、株価も上昇します。
2022年になると急激に上昇した株価が一旦落ち着き下落しますが、そこから再び上昇曲線を辿っています。
仮に10年間の2014年から2024年現在まで株を保有していた場合、上昇率は864.62%です。
まとまった資金を投資していれば、FIREの達成、もしくはサイドFIREを達成したかもしれません。それほどの飛躍をNetflixは2010年代に達成したといえるでしょう。
とはいえ10年前に投資をすること、そのまま保有し続けることが難しいからこそ、投資のみでFIREをするのは難しいともいえるのかもしれません。
今後の動画ストリーミング市場の行方
2024年はAppleがVision Proを発表したエポックメイキングな年であり、今後、様々なデバイスやプラットフォームの変化が加速していくはずです。
たとえばディズニープラスはVision Pro用の3D配信作品を用意している一方、ネットフリックスはVision Pro用のアプリ投入は見送っています。
視聴体験そのものが変化していく中で、新たなサービスが台頭する可能性もあるでしょう。
そして、どんなデバイスが登場しても重要なことが作品のクオリティやコンテンツ量だとすれば、今後も資金面で有利なNetflixが独自のオリジナルコンテンツや多彩なラインナップで視聴者を惹きつけ続けることが期待されます。
ただし、過去の株価上昇は将来の成績を保証するものではないため、リスクを十分に理解した上での投資が必要です。
最後に「もしも10年前にNetflixの株を購入していたら今頃FIREできたのか?」という問いには、一概に答えが出せませんが、投資をすることで将来の資産形成が可能であることは事実です。
未来を見据えた投資について、じっくりと考える機会になれば嬉しく思います。
文/鈴木林太郎