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ニュースや大学などで用いられることが多い「リベラルアーツ」という言葉。なんとなくの意味は想像できても、正しく理解していない人も少なくないはず。
そこで本記事では、「リベラルアーツ」の言葉の正しい意味と使い方、由来や教養教育との違いを解説する。リベラルアーツが注目されている理由やリベラルアーツを身に付ける方法も、ぜひこの機会に確認しておこう。
「リベラルアーツ」とは
まずは「リベラルアーツ」とは何かを簡単に解説する。リベラルアーツの由来や教養教育との違いもぜひ参考にしてほしい。
実社会の課題解決に必要な総合力のこと
わかりやすく言うと、リベラルアーツとは一つの専門分野だけでなく、複数の領域の知識を含めた、社会の課題解決に必要とされる総合力のこと。英語である「リベラルアーツ」の日本語訳は「教養教育」だ。
複雑な問題を抱える現代社会では、広い視野で物事を捉える必要がある。そのため、日本では企業の人事研修や大学などの教育機関でリベラルアーツの学習が取り組まれている。
使用シーン
リベラルアーツは「社会の課題解決に必要なさまざまな分野の知識」について話す場面で使われる表現だ。
【例文】
「私たちにはリベラルアーツが欠けているのではないか」
「リベラルアーツの重要性を説く必要がある」
「今後の社会ではリベラルアーツの大切さが増すだろう」
「日本は、リベラルアーツを浸透させる必要がある」
リベラルアーツの由来
リベラルアーツは、古代ギリシャ・ローマ時代の学問科目「自由七科」が起源だ。古代ギリシャのプラトンが「人間を束縛から解放する知識、自由に生きるためのスキル」を提唱し、アメリカに伝えられて今のリベラルアーツが普及した。
教養教育との違い
リベラルアーツの日本語直訳である「教養教育」は、現在使われている「リベラルアーツ」と意味が混同されやすい。しかし、教養教育は社会で働くための知識や情報を習得することを指し、リベラルアーツははっきりとした答えがない問題を解決するためのスキルを獲得することを表すため、異なる意味を持つ。
リベラルアーツが注目されている理由
次に、リベラルアーツが注目されている理由を紹介する。リベラルアーツを学ぶメリットを把握できるよう、チェックしておこう。
1. 複雑化する現代社会に対応するため
グローバル社会でのさまざまな問題や市場開拓のために、土地の文化や歴史、課題や価値観などを把握することで関係を構築できる。
また、市場の成熟や商品コモディティ化が速くなっているなかで、技術を開発・向上させるには知識と広い視野を持った人材が必要なため、リベラルアーツが注目されている。
2. 総合的な判断力を持つ人材が求められているため
企業や社会が抱える課題は、いくつかの領域に関することが多いため、総合的な判断力を持つ人材が求められている。
また同じタイミングでさまざまな課題に取り組まなければならない場合があるため、物事を網羅的に捉えられるようリベラルアーツを学ぶ必要があるだろう。
3. テクノロジーを使う力が必要とされているため
テクノロジーの発達が目まぐるしい近年、さまざまな仕事がAIに代替されることが予想されている。しかしAIが出力した内容は必ずしも正しいとは限らないため、AIを適切に使いこなすには私たち自身が総合的な観点を持つ必要があり、リベラルアーツが重要視され始めている。
リベラルアーツを身に付ける方法
最後に、リベラルアーツを身に付ける方法を紹介する。実社会で活かせるよう、リベラルアーツを学ぶのにぜひ役立ててほしい。
1. 自分が学びたい分野に特化する
まず、自分が興味や関心が持てる専門分野を学ぼう。自身が学びたいと思える分野のほうが学習意欲がわくため、長期的に学習しやすい。また、最初から複数の分野を学び始めるのはハードルが高い。総合的な知識であるリベラルアーツを学ぶ前に、経済学や政治学などの専門的な知識を身に付けて、自分で考える力をつけておこう。
2. 他の分野の知識も学ぶ
一つの分野の知識を深めた後は、他の分野の知識やスキルを習得しよう。専門分野だけでなく他の分野を学ぶことで、共通点を見つけられたり視点の幅が広がったりするため総合的な知識を身に付けやすい。また思考や物事の捉え方が柔軟になり、新たな課題解決方法やアイデアが見出されるきっかけになるだろう。
3.仮設や論理的思考で多角的な視野を身につける
最後に、身に付けた知識をもとに仮説や検証、論理的思考を反復する。これらを繰り返すことで、さまざまな物事を客観的に見られる。また、問題の解決に重宝する論理的な思考を鍛えるには、歴史書や哲学書を読んだり、新しいテクノロジーを学んだりすることがおすすめだ。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部