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行列に並んでいる時、自分の番が近づくほどじれったく感じる理由

2024.03.08

時間に余裕がある場合、人気の飲食店の行列に並んでみるのも一興だが、気長に待った末にようやく列の先頭近くにきたものの、そこから先が妙に長く感じられたことはないだろうか。自分の番が近づくほどにじれったさを感じるメカニズムがサイエンスによって解きほぐされている――。

“早く終わらせたい”ほど待つのが苦痛に

基本的には順番待ちをしたくないものだが、役所や銀行、病院、あるいは飲食店の行列などで順番待ちを余儀なくされるケースも少なくない。

その場合はあきらめて待つしかないのだが、最初は気長に本やスマホを眺めながら時を費やしていたものの、自分の番が近づいてくるほどに時の流れが遅く感じられ、焦りやじれったさを感じたことはないだろうか。

あるいは時間指定で依頼した宅配便を待っている状況では、指定時間内のいつ届こうが何の問題もないことは頭ではわかっているものの、タイムリミットが近づくほどに荷物のことが気になってくるかもしれない。

この感覚は何に起因しているのか。最新の研究ではそれは我々が目先のタスクを終わらせることを半ば強迫的に優先していることからきていると説明していて興味深い。

テキサス大学オースティン校マコームズ・スクール・オブ・ビジネスのマーケティング助教授であるアナベル・ロバーツ氏をはじめとする研究チームが2023年12月に「Social Psychological and Personality Science」で発表した2つの研究では、人が長い列に並んでいる時や重要な発表を待っている時などの悶々とした体験について調査を行なっている。

ちなみに以前の調査によると、全アメリカ人は年間370億時間を列に並んで待つことに費やしており、平均的な通勤者は年間42時間も渋滞に巻き込まれて過ごしているという。

オンラインおよび研究室で実施された7つの実験の1つでは、参加者は目先のタスクをより早く終わらせるための出費や残業を厭わないことが判明した。

たとえば目先の仕事を今日中に終えるためには仕事量が15%増える無給の残業を厭わず、あるいは休暇の前にレポート作成を終わらせるために1時間の無給残業を行なう傾向が明らかになった。どちらも中断したとしても問題はないタスクである。

また意外なことに後日支払うことができる買い物について、今すぐ支払うことが好まれる傾向が高く、早く支払いを済ませられるのなら1ドルくらい多く払ってもいいと考える者が少なくないことも浮き彫りになった。

これほどにも我々は基本姿勢として“せっかち”ということになるのだが、研究チームによればこうした我々の基本的な心性が、待つという行為を苦痛にしており、特に待ち時間が終わりに近づくほどにイライラやじれったさが増大することが実験で確かめられたということだ。我々は基本的に待つことが実に苦手であることがよくわかる話題であろう。

人間は“ToDoリスト”をなるべく減らしたい

仕事の締め切り日や書類の提出期限日は当然守らなければならないが、物事の中には“習慣”や“気分”で行動が促されているケースもある。

たとえば「大掃除」は大晦日までに終わらせなければならないと考えられているが、往々にして忙しい年末であるだけに、無理してまではしないという選択も当然あり得る。しかし、人々の多くにとっては大掃除は年内に終わらせてしまわないと“気分”的に落ち着かないかもしれない。

場合によっては、代行業者に依頼してまで年内に大掃除を終わらせようとする富裕な人々や組織があったとしても不思議ではなさそうだ。

仕事についても同様で、前出の研究のように年末年始などの休暇の前に当面の仕事を終わらせてしまうために残業を厭わない者も少なくないのだろう。あるいは仕事を中断したままでは休暇を楽しめないという“気分”もあるかもしれない。

そもそもそうした行為の多くは経済合理性に反しているようにも思えるのに、こうした“せっかち”は我々の中でなぜ根強いのだろうか。

研究チームのロバーツ氏によれば、そこには単に“せっかち”だけにとどまらず、“ToDoリスト”をなるべく減らしておきたい気持ちも働いているという。我々は鼻先にぶら下げられたニンジンを1つでも多く減らしたいと考えており、理想を言えば1本もぶら下がっていない状態を望んでいるというのである。

つまり将来に待っている案件がなるべくない状態が望まれているのであり、未来に縛られたくない気持ちが強いということになるのだろう。

世の中のキャッシュレス化がますます進んでいるが、クレジットカードを持っていてもモノやサービスの種類によっては現金で清算したくなる場合もありそうだ。たとえば自分への特別な“ご褒美”となる買い物や飲食は後々の金銭的負担にしたくないという理由からキャッシュで払う選択もあり得る。今この場でパッと使って後腐れなく終わりにしたい“気分”ということにもなるだろう。

しかし経済合理性の面からは、手数料や金利がつかないのであれば支払いはなるべく後に遅らせたほうが基本的には有利なはずである。そして休暇の前だからといって残業をして仕事を終わらせようとしたり、年内のうちに無理してまで大掃除をしようとすることなども往々にして経済合理性に欠けた行為になりそうだ。

日々“ToDoリスト”に追われる仕事や生活は御免こうむりたいものだが、かといって無理をしてまでリストを減らそうとするのもあまり賢明とは言えそうにない。“せっかち”になることなく、少し先を見据えて焦らずに日々の仕事と生活を送りたいものである。

※研究論文
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/19485506231209002
https://psycnet.apa.org/record/2024-36187-001

※参考記事
https://neurosciencenews.com/impatience-psychology-25622/

文/仲田しんじ

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