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全国5つの自治体で導入される日本型ライドシェア、自治体主導で本当に大丈夫?

2024.03.03

小松版ライドシェアは2月から開始

小松市の公式サイトには、早速ながらライドシェアに関する情報が掲載されている。

これによると、自治体ライドシェア「i-Chan」の運行を2月29日から3月2日まで、それぞれ17時から24時の間に実施する。「たった3日間だけのオペレーション?」と思ってしまうが、これに関しては以下のような説明がされている。

上記運行期間の3日間は能登半島地震の被災者の方のみとなります。3月16日(土曜日)以降の詳細はお待ちください。
小松市ライドシェア「i-Chan」の運行-小松市

小松市には能登地方から避難してきた人が多くいるため、まずは被災者の足としての役割を持たせるようだ。同時に、2月29日から3月2日のオペレーションには実証実験の意味合いが含まれているだろう。小松版ライドシェアの配車方法は、パブリックテクノロジーズのスマホアプリ「いれトク!」と電話。日本型ライドシェアは原則的にスマホアプリで配車するよう指針を出しているが、地域のDX化が進んでいない場合はその限りではないという国の見解も実はあるのだ。これに関しては、以下の記事を一読していただきたい。

少しずつ見えて来た日本版のライドシェア、国交省が発表した制度案の論点は?

筆者の手元に、国土交通省が配信している「第1回交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会」の資料がある。 これは今年2月7日に開催された会議で、4月解禁の日本版ライ...

ともあれ、小松版ライドシェアではオペレーション時刻を限定した「タクシーの補完」になることはほぼ確実だろう。他の4自治体を見ても、「地元タクシー会社が運行できない地域でのオペレーション」や「自治体が購入したワンボックスカーで乗り合いバスのように運行する」というような着地点を目指しているようで、言い換えればタクシー会社から利用者を奪ってしまわないように細心の注意を払っているのだ。

2号・3号合わせ技って何だ?

自治体ライドシェアは、実施主体が文字通り自治体だ。しかし、ライドシェアの車両の管理は誰がやるのかという段になると、話はよりセンシティブになっていく。

2月7日に開催された第1回自動車部会で「活力ある地方を創る首長の会」が用いた資料を見てみよう。それには「活⼒ある地⽅を創る⾸⻑の会」の3つの政策ポイントというページがあり、そこでは以下のような目標が掲げられている。

(1)地域のタクシー会社等既存事業者との共存共栄
(2)2号・3号合わせ技
(3)安⼼・安全
交通政策審議会 ⾃動⾞部会ご説明資料

「2号・3号合わせ技って何だ?」という声もあるはずだが、これは道路運送法第78条2号及び3号を指す。簡単に説明すれば、交通空白地域の解消や福祉目的での利用に限り自家用有償旅客運送(二種免許を持たないドライバーによる有償運送)を認めるという法律だ。

即ち、従来の道路運送法第78条2号及び3号を尊重しつつも、「交通空白地帯」の再定義によりライドシェア運行の余地を広げようという発想である。

故に、このコンセプトに従う自治体のライドシェア構想はやはり「時刻を限定したオペレーション」であり、大阪府・市が思い描くような24時間運行のライドシェアにする可能性は限りなく低いのではないか。

「自治体ライドシェア」の定義

「自治体ライドシェアとは、自治体が運行主体となるライドシェアである」と説明する他のメディアの記事を筆者は目にした。その説明は、残念ながらいささか不正確と考える。

自治体がどこまで主導的に取り組むのか、どの業者に運行管理を任せるのか、アプリは何を使うのか。そうしたことは、自治体によって全く異なるからだ。

ただ、この記事で挙げた5自治体に関しては緩やかながらも明確な共通項を持っている。このような形のライドシェアが、数か月後には「自治体ライドシェアの定義」として認識されるのだろうか。

【参考】
小松市ライドシェア「i-Chan」の運行-小松市
令和5年度第1回自動車部会 配布資料-国土交通省
交通政策審議会 ⾃動⾞部会ご説明資料-国土交通省
ライドシェア 新たに5市町で事業開始へ 政府の制度拡充を活用-NHK

取材・文/澤田真一

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