高カカオチョコレートの摂取で脳を効率化させ仕事のパフォーマンスが向上
脳疲労を溜めないためには「省エネ&リセット」で、脳にかかる負担を減らし、過活動にならないようにすることが大切。
脳疲労を改善、予防するコツとして、「睡眠・休息を最優先にした生活」「体を軽く動かす」「五感を使って脳を癒す」「疲労回復に良い食べ物を摂る」「情報量をコントロールし脳を省エネ化する」の5つがある。
明治×理化学研究所が今回発表したのが、「高カカオチョコレートを摂取すると、脳のダメージが抑えられる」という最新研究で、高カカオチョコレートの摂取が脳活動の効率化に寄与することが示される結果が得られた。
〇研究1「行動評価研究」
高カカオ、低カカオのチョコレートをそれぞれ摂取して、信号機の色と文字を活用した「ストループ課題」を行い、認知機能のパフォーマンスを評価。信号機の色と文字が一致する「非ストループ試行」に比べ、信号機の色と文字が不一致の「ストループ試行」の方は判断が難しくなり、より注意力を必要とする。
低カカオチョコレート摂取の場合、1回目より2回目の正答率が低下したが、高カカオチョコレート摂取の場合は、1回目、2回目共に正答率の有意な変化が認められず、高カカオチョコレートの摂取により認知機能パフォーマンスを維持する可能性があることがわかった。(※下記画像左は「正答率」、右は「集中力」)
〇研究2「脳活動評価研究」
高カカオチョコレートを摂取したあとに、課題に取り組んでいる最中の脳の血流や活動状態を評価した試験。研究1と同じくストループ課題を行いながら、脳の状態をMRIで撮像、計測した。
脳の前頭前野の中でも、注意や作業記憶を担う「背外側前頭前野」、注意の制御を担う「下頭頂小葉」の状態を調査。
信号機の色と文字の2つが不一致な「ストループ試行」では、注意のネットワークである「背外側前頭前野」「下頭頂小葉」を一生懸命働かせなければいけない=脳活動が高まると予想される。
低カカオチョコレート摂取では、予想通り1回目より2回目で脳活動が増大したが、高カカオチョコレートの摂取の場合は、1回目より2回目の活動の値が低くなり、課題の遂行に必要な脳活動を省エネで行うことができた。このことから高カカオチョコレートの摂取は脳活動の効率化に寄与する可能性が高いことがわかった。
「チョコレートの主原料のカカオに含まれるポリフェノールには、抗酸化作用や、血管内皮機能を向上させる働き、脳の血流を増大させて認知機能を改善することがわかっています。先行研究でもカカオポリフェノールが、動脈硬化や高血圧予防、便通改善など、様々なエビデンスで健康効果が証明されていきました。
今回の理化学研究所と明治が行った2つの共同研究では、高カカオチョコレートの摂取により、認知パフォーマンスの維持や脳活動の効率化に寄与する可能性があることがわかりました。
日本人一人当たりのチョコレートの摂取量は年間2kg程度で、板チョコにすると40枚分。日本人は世界的に見るとチョコレート摂取量が少ない国民といえます。
今回のように科学的な効果を立証することによって、健康や脳の効率化という観点、仕事のパフォーマンスを上げるという観点から、積極的に高カカオチョコレートを摂取していただけるきっかけになればと思っています」(水野氏)
【AJの読み】脳の省エネに役立つ高カカオチョコレート
今回の試験で使われたチョコレートはカカオポリエノール量がしっかりと含まれた高カカオチョコレート。明治が発売している高カカオポリフェノール含有の商品では「チョコレート効果」があり、カカオ72%、86%、95%の3種類で展開している。
「カカオ由来の原料がどのくらいの割合で含まれているかで3種類の製品に分かれています。カカオ以外の材料は砂糖が主で、カカオのパーセンテージが大きい商品ほど砂糖が少なくなりますので、カカオ95%は苦みが強く、72%のほうが少し食べやすくなりますが、ポリフェノール量はその分だけ異なります」(明治 萩原氏)
今回の研究結果から、高カカオチョコレートを摂取すると、脳のパフォーマンスを維持させて、脳資源を効率よく使える「脳の省エネ化」に役立つということが判明した。
試験で使われたストループ課題のような、同時に複数の仕事を処理するマルチタスクを行う前や、脳をフル稼働させながら話すプレゼン前など、頭を使う活動をするときに高カカオチョコレートを食べるのが効果的。高カカオチョコレートは脳疲労をリセットする頼もしい食材といえるだろう。
文/阿部純子