■連載/阿部純子のトレンド探検隊
情報過多、先行き不安、休息不足などで「脳疲労」が蓄積する人が多い
明治と理化学研究所は、高カカオチョコレートの摂取で、限られた脳の活動量を有効活用させ、仕事や学習のパフォーマンスアップに寄与する可能性があるという研究成果を発表した。
(下記画像左より、明治 グローバルカカオ事業本部 本部長 萩原秀和氏、理化学研究所 生命機能科学研究センター 客員主管研究員/神戸大学特命教授 大阪公立大学特任教授 水野敬氏、理化学研究所 生命機能科学研究センター 客員主管研究員/神戸大学特命教授 大阪公立大学健康科学イノベーションセンター顧問 渡辺恭良氏)
現代人は子どもから大人まで「脳疲労」が蓄積されている人が多い。集中力が続かない、考えがまとまらない、だるさが続く、朝すっきりと怒られない、仕事のミスが増えた、といった根底には慢性的な脳疲労があると考えられている。
日本リカバリー協会/日本疲労学会の合同調査では、実に81.8%の人が疲れを感じているという結果が出ている。
「脳疲労は、スマホやパソコンから得られる情報量が多く脳がパンク気味になっている、複数の作業を同時に進めるマルチタスクが当たり前になり脳がオーバーワークしている、漠然とした不安から脳疲労になる、睡眠・休息不足で脳疲労が慢性化している、という4つの特徴があります。
体の疲れを感じる肉体疲労と、メンタルの疲労感が起きるメカニズムはすべて同じで、疲労の原因は、活性酸素によって脳や筋肉の細胞が酸化することで起きます。
本来は生体内の還元系や抗酸化物質により活性酸素を早く消去したり、酸化した細胞の部品をできるだけ早く修復するシステムが備わっていますが、オーバーワークが続くとこれらの対策が追い付かなくなり、活性酸素が蓄積した状態=疲労につながってきます」(渡辺氏)
脳には使える活動容量(脳資源)が限られており、呼吸、心拍、体温コントロールなど生命を維持するための活動のアイドリングにほとんどが使われ、能動的に考えたり、行動するために使われるのは少ない量しかない。
注意力や集中力が必要な作業を行うと脳資源は消費していくため、現代人はこの少ない脳資源を、大量の情報処理やマルチタスクにより消耗している状態にある。
仕事で脳資源の60%消費して残りが40%に低下しても、休息を取ることで100%に回復できるが、休息が十分でないと100%まで回復できず、脳は資源不足のままになってしまう。
脳を疲労させない生活を送るには、限りある脳資源を効率よく使っていくことが重要になる。