ウォーキングやジョギング、ヨガは抑うつ症状の軽減に有効
憂うつな気分を吹き飛ばすには、ウォーキングやジョギング、ヨガ、筋力トレーニングなどを試してみると良いようだ。
これらの運動は、他の運動よりも抑うつ症状の軽減に効果的であることが、新たなエビデンスレビューで示唆された。
クイーンズランド大学(オーストラリア)心理学分野のMichael Noetel氏らによるこの研究結果は、「The BMJ」に2024年2月14日掲載された。
世界保健機関(WHO)の推計によると、うつ病患者は世界で3億人以上に上る。うつ病に対してはしばしば運動が推奨されるが、最適な運動の種類や運動量については治療ガイドラインや研究ごとに異なっているのが現状である。
この点を明らかにするために、Noetel氏らは論文データベースで運動を他のうつ病ケアと比較したランダム化比較試験(RCT)を検索し、システマティックレビューとネットワークメタアナリシスを実施した。適格条件を満たしたRCTは計218件で、対象者の総計は1万4,170人に上った。
解析の結果、通常のケアやプラセボによる治療を受けた対照に比べて、ウォーキングやジョギング、ヨガ、筋力トレーニング、混合有酸素運動、太極拳や気功を行った群では抑うつ症状が中等度軽減し、ダンスを行った群では大幅に軽減することが明らかになった。
運動をSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と組み合わせるか、有酸素運動と心理療法を組み合わせた場合にも、抑うつ症状は中等度軽減していた。
また、ウォーキングやハタヨガのような低強度の運動でも臨床的に意味のある抑うつ症状の軽減効果が得られるものの、ランニングやインターバルトレーニングなどのより高強度の運動の方が、抑うつ症状の軽減効果が大きいことも判明した。
さらに、ウォーキングやジョギングは男女ともに有効であったが、女性では筋力トレーニングとサイクリングが効果的であり、男性ではヨガや気功、有酸素運動と心理療法の併用がより効果的であった。
高齢者では若者に比べてヨガや、有酸素運動と心理療法の併用が効果的である一方、若者では高齢者に比べて筋力トレーニングが効果的だった。
この他、運動は他の健康状態の有無や、うつ病の程度、あるいは一人で行うか集団で行うかにかかわらず、同様に効果的であることも示された。
研究グループは、「この研究結果は、うつ病の臨床診療ガイドラインに運動、特に強度の高い運動を含めることを支持するものだ」と大学のニュースリリースで述べている。
この論文の付随論評を執筆したマラガ大学(スペイン)のJuan Ángel Bellón氏は、「現状では、プライマリケア医は、軽度または中等度のうつ病の成人に対して、運動、心理療法、抗うつ薬を単独で勧めてもよい」と話す。
しかし同氏は、うつ病患者にとって定期的な運動は困難な場合が多いことを指摘し、「うつ病患者のための身体活動プログラムを評価するためにはさらなる研究が必要だ」と述べている。(HealthDay News 2024年2月15日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.bmj.com/content/384/bmj-2023-075847
Press Release
https://www.uq.edu.au/news/article/2024/02/exercising-your-way-out-of-depression
構成/DIME編集部