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35年ぶりに東京・恵比寿にブルワリーが復活「YEBISU BREWERY TOKYO」から新たなビール文化は生まれるか?

2024.03.01

恵比寿ガーデンプレイスにあるサッポロビール本社棟の下に、4月3日(水)、YEBISU BREWERY TOKYOがオープンする。1890年に生まれたヱビスビールの、その生誕の地に35年ぶりに復活するブルワリーだ。老舗ブランドが展開する新しいビール体験とは?

ヱビスビールの名が街の名になった歴史

恵比寿といえば、カジュアルにして洗練された大人の街。住んでみたい街ランキングの上位常連で、最近はインバウンドにも大人気だ。そんな恵比寿、七福神とはどんな関係?というと、そっちのえびす様ではない。

1890年、サッポロビールの前身、日本麦酒醸造会社が、この地にヱビスビールの工場を建てた(当時の表記は恵比寿麦酒)。現在の恵比寿ガーデンプレイスがある場所だ。当時の地名は目黒村。

1901年にはビール工場専用の貨物駅、恵比寿停車場が開設された。1906年、渋谷寄りに300メートル移転して恵比寿駅に。これが現在の恵比寿駅になった。その後、駅周辺の発展にともない、このあたりが恵比寿と呼ばれるようになり、やがて地名になった。恵比寿の街のルーツはヱビスビールなのだ。

35年ぶりに復活する恵比寿の醸造所

そんな恵比寿の生みの親であるビール工場は、実は1988年まで稼動していた。その後、近年はヱビスビール記念館としてミュージアムの役割を果たしていたが、今年35年ぶりに醸造所が設置される。

年間醸造量は130キロリットルと、大手ビールメーカーとしてはマイクロといえる規模である。その代わり、ここにはヱビスビールと恵比寿の街のルーツをたどるミュージアムがあり、見学できる醸造設備があり、そのすぐ隣にできたてが飲めるタップルームがある。つまり、ここはブルワリー付きのヱビスビール体験施設だ。

YEBISU BREWERY TOKYOのコンセプトに、「ここはヱビスの座標軸でもあり、新たなビール文化が生まれる拠点」とある。ヱビスブランドグループの沖井尊子さんはこう説明する。

「ヱビスブランドの過去から現在にいたる物語に触れ、その物語とともに、今造られているビール、これから挑戦しようとしているビール、その一連の流れを体験していただける施設です。

ヱビスビールが生まれて134年になりますが、ビールが提供できる楽しさは、きっとまだあるはず。ビールの新しい可能性を追究しつづけていくヱビスの拠点として、お客様の新しいビール体験がつくられる場所にしていきたいと思います」

100年を超えるブランドの、古くて新しいオーセンティックな魅力に期待したい。また、ヱビスブランドの魅力をYEBISU BREWERY TOKYOの外、恵比寿の街にも広げていくことにも取り組む。

JR恵比寿駅のホームでは、山手線発車のメロディにヱビスCMの曲が流れる。実はもう30年前からだ。ちなみに、あのラララン〜ララララン〜は映画『第三の男』の「ハリー・ライムのテーマ」である。そして2022年9月からは、恵比寿駅東口の標札に「ヱビスビール口」が併記されている。

JR恵比寿東口の改札サイン。待ち合わせの目印に。

沖井さんは、街ぐるみのイベントも仕掛けていきたいと話す。すでに行なわれている飲食店の「ヱビスビールに合う逸品グランプリ」は今年9年目になる。「世界一楽しいビールの街へ。」が、YEBISU BREWERY TOKYOの目指すところだ。

ここから新しいビールスタイルが生まれるかもしれない

では、YEBISU BREWERY TOKYOでは、どんな体験ができるのだろうか。

ビール工場と恵比寿の街の歴史を写真でたどるミュージアムエリア

ヱビスブランドの誕生から現在までのストーリーをたどるミュージアムは必見。何ごともルーツを知ると知らないとでは大違い。134年のタイムスリップ感覚を楽しんだら、その隣がブルワリーだ。

ブルワリーエリア

ドイツ製醸造設備が目の前に。釜の隣にはブリュワーズルームが設置され、タイミングによってはブリュワーから直接、話を聞くこともできる。

YEBISU BREWERY TOKYOオリジナルのヱビスビールが造られる。

フラッグシップは「ヱビス∞(インフィニティ)」と「ヱビス∞(インフィニティ)ブラック」の2種類。かつて恵比寿工場で使用していたヱビス酵母を再選抜して使用。ホップはヱビスビール誕生当時に使用していたと思われるドイツ産ファインアロマホップ「テトナンガー」を一部に使用。

Chief Experience Brewer(ヘッドブリュワー)の有友亮太さんは、「ヱビスらしい飲み応えがありつつ華やかさも感じられる味わいに仕立てました。ヱビスブランドってどんなビールなのか、1杯飲んで感じていただければ」と話す。

「ヱビス∞」「ヱビス∞ブラック」のほか期間限定や数量限定のビールもあり、多彩なヱビスが楽しめるタップルーム。ここから新しいビールスタイルが生まれてくるかも。

期間限定や数量限定のオリジナルビールが次々と醸造されるのもYEBISU BREWERY TOKYOの魅力だ。4月のオープン当初は「Foggy ale 2024」と「煙々(えんえん)」の2種が予定されている。

「Foggy ale 2024」のテーマはBeer is uncertainty(ビールは不確かなもの)。現代のビール開発は、無数のスタイルが漂う霧のなからひとつの答えを見つけ出す作業のようなものであり、だからこそ「ビールとは何か」を考えるのも楽しい。これは2種のホップをドライホッピング、霧のようにかすんだ液色が特徴のビール。

「煙々」のテーマはBeer is Meditation(ビールは瞑想)。麦芽の香りを追求し、燻製麦芽を一部使用した、まるでウイスキーを思わせる香ばしさが特徴。香りの余韻を楽しみながら、静かにグラスを傾けるのが似合いそうなビールだ。

「ここではチャレンジングなビールをどんどん造っていきます」と有友さん。毎月のように新作がリリースされる予定というから楽しみだ。

すでにヱビスブランドにはクリエイティブブリューというラインがある。ヱビスの枠にとらわれない自由な発想のビールが期間限定で登場している。2月20日には「シトラスブラン」が発売されている。レモングラスとホップのマリアージュが新しい。

サッポロビールの研究所では、ハーブとホップの組み合わせについて研究を重ねている。有友さんは、「ハーブもホップも数百の種類があり、その組み合わせは文字通り無限大です。研究の成果を生かし、おもしろそうなビールにどんどんチャレンジしていきたい。ビアスタイルの提案だけでなく、これからビアスタイルになるかもしれないヱビスを造っていきたいと思います」と意気込みを語る。

飲み慣れたはずのビールに、まだ未知の味がある。ビールの楽しみは果てしない。YEBISU BREWERY TOKYOが入り口になって、もっと好きなビールや、おいしい飲食店と出会えることを期待したい。

ヱビスブランドグループChief Experience Brewerの有友亮太さんと、ブランドマネジャーの沖井尊子さん。後ろにそびえるのはサッポロビール旧恵比寿工場の製麦乾燥室の通風筒に取り付けられていたカブト。1914年(大正3年)にドイツから輸入されて以来およそ60年間、乾燥室の雨風をしのぐ役目を果たし、工場のシンボルでもあった。

YEBISU BREWERY TOKYO(ヱビス ブルワリー トウキョウ)
東京都渋谷区恵比寿4-20-1 恵比寿ガーデンプレイス内
営業時間
平日:12時~20時 土日祝:11時~19時
定休日:火曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始
※開業日4月3日のみ、10時30分営業開始

取材・文/佐藤恵菜

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