「グラハンの仕事をたくさんの人に知ってほしい」のの子先生によるコメント
発表会では、著者ののの子先生のコメントが代読された。
取材を通して、「小柄なグラハン女子が大型機を巧みなハンドルさばきでプッシュバックする姿や、チームで定時出発を目指して、ハンドシグナルを送り合いながら働く姿に、アスリートのようだと感動した」というののこ先生。
そのうえで「グラハンというプロフェッショナルな仕事の存在をもっとたくさんの人たちに知ってもらうため、作品が少しでもその役割を担えるように頑張りたい」と意気込みを表した。
人材不足の救世主になるか、グラハン女子に注目
前述の通り、グラハンの業務はとにかく多岐にわたる。
近年では先端技術を活用して業務の省力化、効率化が進んでいるとされるが、夏は暑く、冬は寒いなど環境的にも過酷で、力仕事がまだまだ残る業務だ。また、コロナ禍で就業者が減少、現在の航空需要に追いつかない現状は航空業界の課題となっている。
そんな中、救世主のひとつと考えられているのが、グラハン女子だ。空港グランドハンドリング協会会長でもある小山田氏によると、「現在、全国でグラハン女子はグラハン全体の約2割」となっているらしい。
航空業界はチームワークがなくては成り立たない。パイロット、客室乗務員、整備士、旅客係員、グラハン、さらには運行管理担当など数多くの職種が一体となって、初めて航空機は運航することができる。
「作品をご覧になった方の1人でも多くがグラハンの世界に興味を持ち、いつか空港で一緒に働いていただくことができたら」と、小山田氏は期待を寄せる。新連載の読者の中には、すでにもう未来のグラハン女子がいるかもしれない。
取材・文/内山郁恵