中国政府による新型コロナ規制緩和後、初めて迎えた春節
モバイル決済デジタルプラットフォームのAlipayを展開するアントグループから、2024年春節期間中<2月10日(土)~2月17日(土)>の旅行消費に関するトレンドが発表された。
データによると、インバウンド・アウトバウンド旅行分野において、消費支出が力強く回復していることが示されたという。本稿ではその概要をお伝えする。
今回の春節は、中国政府による新型コロナウイルス感染症対策の規制緩和後、初めて迎える春節となった。
アントグループは、昨年12月から外国人観光客の呼び込みに向けたAlipay+での大型キャンペーンを実施しており、春節休暇中の2月9日から12日には、その成果が顕著に現れ、Alipayユーザーによる海外での決済回数は2019年同期比で7%増加。
決済額は同期の82%まで回復、2023年同期比では2.4倍という成長を記録したという。
中国人の旅行熱はアジアにとどまらず、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、中東、北米地域への旅行支出も増加傾向にある。
■タイ、マレーシア、シンガポールのAlipayでの決済額は2023年比で580%増
シンガポールの裕華百貨店、AlipayやAlipay+の提携Eウォレットのロゴを出し、インバウンド客の取り込みを狙う。
実際、香港やマカオに加え、日本、タイ、マレーシア、シンガポール、韓国、フランス、オーストラリア、カナダは、中国人観光客によるAlipayでの決済額が最も多い旅先となっている。
東南アジア3か国のタイ、マレーシア、シンガポールのAlipayでの決済額は、2019年比で7.5%増加し、2023年比では580%増加した。決済額はタイが首位を牽引し、増加幅はマレーシアが最大となっている。
また、旅行先の広がりだけでなく、中国人観光客は従来の買い物や主要観光地巡りから、その場所でしかできないユニークなローカル体験へと関心を移している。
春節休暇中、中国の観光客は2019年同期比で飲食に70%以上多く支出し、都市部の人気スポットから知られざる地方の観光地まであらゆる場所を訪問している。
旅先での近距離移動は、ローカル体験の人気上昇とともに急速に増加中だ。Alipayは、鉄道、タクシー、ライドシェア、レンタカー、バス、地下鉄、スクーターシェアなど、さまざまな交通機関と提携しており、ユーザーは馴染みのアプリから簡単に予約することができる。
Alipayを使用する旅行者は、公共交通機関をより多く利用する傾向があると考えられるため、2019年比で移動費用が約60%減少した。
Alipayは、旅行客による収益の一部を地元の中小企業に還元することで、地域経済活性化に寄与している。
■Alipay+の提携Eウォレットによる越境決済額は前年比で252%も増加
春節は中国だけでなく、アジア圏全体で広く祝われる主要な節日だ。2023年には、Alipay+が新たなEウォレットとの提携を強化し、世界的な旅行需要も相まって、Alipay+の提携Eウォレットによる越境決済額は前年比で252%も増加し、1日の平均決済回数は304%増という著しい成長を遂げた。
Alipay+の提携するEウォレットユーザーにとって最も人気のある5つの旅先は、日本1、韓国、マカオ、タイ、シンガポールとなっている(中国本土を除く)。
訪中旅行者もAlipayで簡単に決済
訪中観光客の決済需要に対応し、海外のEウォレットおよび海外カード対応のAlipayアカウントは、中国本土で大きく成長を遂げている。
2023年9月以降、Alipay+はアジアの主要な10のEウォレットと支払いアプリに対応し、8000万以上の加盟店でローミングユーザーに対応。Visa、Mastercard、JCB、Discover、Diners Club Internationalなどの海外クレジットカードやデビットカードも旅行者の需要を見据え、Alipayとの提携を拡大している。
今年の春節期間に中国本土へ旅行をした観光客の決済額2は、2023年同期比で500%以上増加した。レストラン、観光名所、公共交通機関でのAlipayの利用が最多となっている。
アントグループのシニアバイスプレジデント兼Alipay+責任者のダグラス・フィーギン氏は、以下のように述べている。
「モバイル決済は、年齢や収入に関わらず多くの人に利用され、特にアジアを中心に世界中で越境決済を促進しています。2024年には、主要な決済企業や国の観光機関、加盟店との提携を拡大し、さらなる成長を期待しています」
関連情報
https://www.antgroup.com/ja
構成/清水眞希