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貯金3000万円を有している世帯は、一般的にかなり裕福と言える。数年分の生活費は確保できていると考えられることから、余剰資金を資産運用に回す余裕も出てくるだろう。
こちらの記事では、貯金3000万円を超えたらどのようにお金を活用すべきか、ライフプラン別に解説する。
貯金額3000万円は少ない?多い?
令和4年の金融広報中央委員会の資料によると、金融資産保有額で「3,000万円以上」と回答した人の割合は10.7%だった(金融資産を保有していない世帯を含める)。
つまり、貯金を3000万円以上保有している人は、日本において「上位約10%に入る」資産を有している。結論としては、3000万円の貯金額は「多い」と評価できるだろう。順調に蓄財できており、優良な家計運営ができていると推測される。
金融広報中央委員会の調査を参考にすると、貯金額は以下の金融資産を合計して考える。
- 預貯金
- 金銭信託
- 生命保険
- 損害保険
- 個人年金保険
- 債券
- 株式
- 投資信託
- 財形貯蓄
- その他金融商品
預貯金や債券・株式などの金融商品は貯金としてイメージしやすいが、保険も貯金に含まれる。貯蓄性のある保険に契約している人は、解約返戻金相当を貯金に含めて計算しよう。
近年はFXや暗号資産など、新しい資産運用手法が誕生している。これらの比較的新しい手法で運用されている資産に関しては「その他金融商品」に含まれると考えられる。
なお、2024年から新NISAが始まったことから、新NISAを通じて資産運用を行っている人も多いことが推測される。
では、次からは世代別に貯金額3000万円を有する人の割合や、具体的にどんなライフプランを設計すべきかを解説していきたい。
貯金額3000万円の30代割合は?
30代で金融資産保有額を「3000万円以上」と回答した人の割合は2.4%だった(金融資産を保有していない世帯を含める)。金融資産保有額の平均は515万円、中央値は150万円となっている。
30代で3000万円以上の貯金額を持っている世帯は、約40世帯に1世帯だ。かなり少ないと言えるだろう。
一般的に、多くの日本企業は年功序列の仕組みで給与が決まるため、30代の中には収入が伸びていない人も多い。しかし、若くして高収入の仕事に就いた人や起業した人など、さまざまな要因で3000万円以上蓄財できた人もいると考えられる。
■30代で貯金額が3000万円を超えたら?
30代は、結婚や出産、マイホームの購入などライフイベントが起こりやすい年代だ。3000万円の貯金がある場合は、将来の出費に備えて資産運用を行うとよいだろう。
具体的には、当面の生活費(6か月分~12か月分)を普通預金口座で確保し、それ以上の資金に関しては投資信託や株式をはじめとした金融資産で運用する塩梅だ。リスクが伴うものの、新NISAを通じて高いリターンが期待できる個別株式や、投資先が株式で構成される投資信託への投資を検討するとよいだろう。
30代の種類別金融商品保有額を見ると、金融資産保有額のうち、株式と投資信託が占める割合は約31%だった(金融資産を保有していない世帯を含む)。
長期投資すると、短期投資よりも安定的に収益を得やすい。運用期間が長くなればなるほど平均リターンは安定するため、十分な運用期間を確保できる30代の人はリスクを負いやすいと言える。
※出典:一般社団法人投資信託協会「第3回 長期投資のメリットとは」
貯金額3000万円の40代割合は?
40代で金融資産保有額を「3000万円以上」と回答した人の割合は5.2%だった(金融資産を保有していない世帯を含める)。金融資産保有額の平均は785万円、中央値は200万円となっている。
30代よりも3000万円の貯金を保有している世帯割合は上昇しているものの、「約20世帯に1世帯」だ。40代は30代よりも収入が上がっている人が多いと考えられるが、まだまだ3000万円の貯金を保有している人は少ない。
40代は収入が上がりやすい一方で、税金や社会保険料の負担が増え、住宅ローンの返済や子どもの教育資金など出費がかさみやすい。そのため、30代よりも預貯金の平均・中央値ともに増えているものの、増えている幅は小さい。
■40代で貯金額が3000万円を超えたら?
なお、40代で3000万円を蓄財できた時の資産活用方法は、基本的に30代と同じだ。40代で子どもがいる世帯であれば、子どもの進学資金をはじめ「近い将来に発生するまとまった支出」を見込んでおく必要がある。
当面の生活費(6ヵ月分~12ヵ月分)に加えて、近い将来に発生するであろう教育資金に関しては、元本割れがない形で安全に保管するとよいだろう。預貯金という形はもちろん、個人向け国債で安全に運用する方法が考えられる。
個人向け国債は政府が発行している元本保証の債券で、個人向け国債を購入すると政府へお金を貸していることになる。「3年固定」「5年固定」「10年変動」という3つのタイプがあるため、子どもの年齢に応じて最適な満期の商品を選択できるメリットがある。
例えば、5年後に進学を控えている場合は「5年固定」の個人向け国債を購入すれば、進学費用を確保しつつ安全に運用できる。また、個人向け国債は1万円単位で購入でき、購入後1年経過すれば引き出しが可能なので利便性も高い。
当面の生活費と近い将来に発生する出費を超える預貯金に関しては、積極的にリターンを狙うとよいだろう。個別株式や、株式に投資する投資信託の購入を通じて、老後生活に向けた資産形成を意識しよう。
40代の種類別金融商品保有額を見ると、金融資産保有額のうち、株式と投資信託が占める割合は約28%だった(金融資産を保有していない世帯を含む)。30代よりもリスク資産を保有している割合が、若干減少していることがわかる。