プロゲーマー 翔さん
ゲームへの向き合い方と〝プロの生き方〟を示してくれた
FUKUSHIMA IBUSHIGIN所属。2023年3月にIT系の会社を退職し、専業プロに転向した。正確無比な操作に裏打ちされた高い実力や爽やかな顔立ち、明るい人柄で多くのファンを惹きつけている。
ひとつひとつの行動を自分で言語化する
福島県を拠点とするプロゲーミングチーム、FUKUSHIMA IBUSHIGINに所属するプロゲーマーの翔(かける)さんは、2023年8月に開催された国際eスポーツ大会「Gamers8 2023」で優勝し、賞金40万ドル(約6000万円)を獲得した。『ストリートファイター6』のプロゲーマーの中でも今、最も勢いのあるひとりとされる翔さんは、幼少期から勝負事を好んでおり、バトルやスポーツ系のマンガをこよなく愛していた。
「逆境をはねのけて成長し強くなる主人公の姿を見て、いつか自分もこうなりたいと憧れを抱いていました」
翔さんが最も影響を受けたマンガの一つが『アオアシ』だ。
「ゲームに対する向き合い方、考え方の指標になっている作品です。特に学びになったのが、主人公の葦人が戦術を理解していくシーンですね。試合の流れや敵味方の動きから意図を読み取り、それに対応した行動を選ぶことが戦術理解には重要なのですが、そのためにはまず個々の動きについて言語化できないといけない、ということが描かれています。格闘ゲームとはジャンルも人数も違いますが、競技という点では根底に同じものが流れているんだなと読んでいて感じました。葦人の考える過程や方法は上達の参考にしています」
葦人の成長を見守る監督やコーチの導き方も『アオアシ』の奥深さを引き立てている。
「直接教える『ティーチング』ではなく、考える機会を与える『コーチング』に徹しているのが印象的です。僕自身、マンガ内での監督たちの言葉に身が引き締まり、我が身を振り返ることもあります。また、これから人に教える立場になることがあれば、この姿勢を見習いたいなと思っています」
1対1の格闘ゲームだからこそ重要なコミュニケーション
『アオアシ』の特徴として、〝対話〟するシーンの多さが挙げられる。
「葦人は途中でフォワードからサイドバックへのコンバートを命じられます。全く違うポジションを始めるにあたり、そのポジションのメンバーと積極的に意見交換することで理解を深めていく。これってとても大事なことなんですよね。僕自身刺激をもらっています」
1対1の個人戦である格闘ゲームは、一見孤独に戦うものだと思われがちだ。しかし、こと上達においてはコミュニケーションが重要な役目を果たす。
「ひとりの練習だけだと、上達には限界があります。同じキャラクターの使い手との情報共有は、新たな発見のきっかけになります。また、自分のキャラクターを知るだけでも勝てません。ほかの使い手やチームメンバーなど、幅広い意見を取り入れることで、自分の知識がより深く、強固なものになっていきます。ひとりで相手に立ち向かう格闘ゲームだからこそ、周囲とのコミュニケーションが最終的には大きなアドバンテージとなるのです。
ただ、周りを巻き込む力が今の僕には足りていないと思っているので、『アオアシ』を参考に試行錯誤しています」
主人公のスピーチで学んだプロになることの意味
翔さんがプロの在り方について考えさせられた作品が『capeta』だ。
「主人公のカペタがスポンサーに語った『支援をもらった僕に出来ることはあなたの代わりに勝ってくること』というセリフは、まさにプロとスポンサーの関係そのものを表わしていると思っています。
スポンサーとなった企業に対して、直接お金が入ってくることはありません。それでも支援してくれるのは、企業の思いや夢を選手が背負い、勝利することに懸けてくれるから。その期待に応えることが、プロゲーマーである僕の役目です。チーム所属以前に読んだ作品ですが、当時は大きく影響を受けましたし、今はその意味について身をもって実感しています」
上達において大事なこと、そしてプロゲーマーという仕事の意義は、マンガから培った。そして23年、その生き方が実を結び、大きな飛翔の年となった。24年の翔さんの活躍からも目が離せない。
DIME4月号は超実践的なAI活用法をまとめた「AI仕事術」と「ビジネスに効くマンガ」の2大特集
日々進化を続けるAIはいよいよ社会に実装されていくフェーズに入ってきました。また、スマホやPCの“オンデバイス”で搭載され始めるなどスゴいスピードで進化を遂げています。
4月号のDIMEはそんなAIの仕事での活用をまとめた特集です。話題のマイクロソフト「Copilot」など今すぐ使えるAIの実践的活用法をシーン別にまとめています。
企画書やプレゼンの構成、メールの返信、プロジェクト管理、データの整理、ブレストなど具体的な使用シーンと活用法を様々な識者に取材し、まとめています。
まさにこれ一冊で自分をアップデートできる一冊です!
実は今回は表紙もAIに作ってもらったり、誌面をAIを活用して作ってみるなど編集部としても実験的な試みを実践しています。
また第2特集ではマクアケ・中山社長、安芸高田市・石丸市長、沢口愛華さん、斎藤佑樹さん、神田伯山さん、モグライダー・芝 大輔さん、映像ディレクター 高橋弘樹さん、ベンチャー投資家・朝倉祐介さん、プロゲーマー翔さん、株式投資家テスタさんなどマンガ好き10名とDIME読者により仕事のモチベーションをアップしてくれる56冊を選出してもらいました。
役立つ情報が満載の4月号、是非お近くの書店などでチェックしてみてください。
***********************
DIME2024年4月号