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「相手の懐に入る術を学んだ」映像ディレクター・高橋弘樹さんが語る作り手の苦悩に効くマンガ5選

2024.04.29

映像ディレクター 高橋弘樹さん

めげそうな時に立ち返る原点。作り手の苦悩に効くマンガ

高橋弘樹さん2005年テレビ東京入社。『家、ついて行ってイイですか?』など人気番組を手がける。登録者数100万人超のYouTubeチャンネル『日経テレ東大学』が2023年に終了し、昨年独立。ビジネス動画メディア『ReHacQ(リハック)』を運営。ABEMAの社員でもある。

古田織部の〝破調の美〟が番組作りに影響を与えた

 戦国の世に信長・秀吉・家康の3人に仕えた武士で、千利休に弟子入りした茶人でもあった古田織部。茶器や美術などにスポットライトを当てながら、「出世」と「物」という2つの欲の間で悶絶する武将の生涯を、コミカルに描いたのが『へうげもの』だ。この本を挙げたのは、元テレビ東京の名物プロデューサーで映像ディレクターの高橋弘樹さん。

「『モーニング』で連載が始まったのが2005年。ちょうどテレ東に入社した年でした。リアルタイムで読んでいたので、社会人人生を伴走してもらった感覚があります」

 へうげものは「ふざけた者」の意。主人公・古田織部は一見冴えないが、モノを見る目に圧倒的な才を持つ。師匠・千利休に深遠な精神性を学び、美的センスとへうげたエンタメ性で戦乱の時代を生き抜く──。

 そうした織部の姿勢に「作り手としても刺激を受けた」と言う。

「織部は〝破調の美〟といって完成された椀や掛け軸をわざと壊してツギハギ、そこに美しさを見いだしたりする。いかに『普通を壊すか』『誰も気づかなかった魅力を見せられるか』。そんなクリエイティブ理論に共感したし、影響もされましたね」

 テレ東時代に手がけた番組は、ほぼ空撮映像のみで構成した『空から日本を見てみよう』、終電を逃した人の自宅に同行する『家、ついて行ってイイですか?』など。紀行モノやドキュメンタリーといったジャンルには収まらないものが多い。織部の〝破調の美〟が、どこか宿る。

『へうげもの』©山田芳裕/講談社

『へうげもの』に学んだ相手の懐に入る術

「ほかにも大きく影響を受けた点があって。織部って信長や家康を『いかに笑わすか』に心血を注ぐ。例えば家臣を集めて信長が話をする時、重苦しい雰囲気の中で、笑わせることで空気を変えて相手の懐に入る。それがいいんですよ。『ReHacQ』で僕も政治家や文化人を相手に堅めの話を聞く時、空気を張り詰めさせず、できれば一笑とることを目指す。すると相手の心の奥底にある言葉や表情が出ます。このマンガは織部が“空気”をいかに壊すかというのを描いていると思っています」

『へうげもの』©山田芳裕/講談社

「主人公のダイよりも、ダメなポップが好きなんです」

 ドラクエの世界観をマンガに落とし込んだ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』。小学生の時に読んで以来、何度も読み返しているという。

「主人公のダイより仲間の魔法使いポップがいいんですよ。弱虫で手強い相手からすぐ逃げる卑怯なヤツ。自分にも思い当たるところがあって、そのキャラがとても感情移入できる。ただ、そんなポップが少しずつ仲間の大切さや困難を乗り越える勇気を手にする。それが、めげそうな時に〝効く〟んです」

 特に効くのは、そんなポップの周りで発せられるセリフだという。

 例えば、仲間がピンチの場面。ポップは相手が強すぎるから……と逃げ出してしまう。しかし、まぞっほという落ちぶれた老魔法使いが、「相手の強さによって出したりひっこめたりするのは本当の勇気じゃない!」と戒める。

「するとポップは弱虫のくせに踵を返して戦いに戻り、強者に挑むんです。作り手の世界って正解もないし、大変なことも多くて苦痛の連続。逃げ出したいんだけど、立ち向かうしかない。弱虫でもね。するとちょっとずつ成長できる。たぶん多くのビジネスパーソンも、ポップの弱さと強さは響くものがあるのでは」

『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』©三条陸、稲田浩司/集英社 ©SQUARE ENIX CO., LTD.

DIME4月号は超実践的なAI活用法をまとめた「AI仕事術」と「ビジネスに効くマンガ」の2大特集

日々進化を続けるAIはいよいよ社会に実装されていくフェーズに入ってきました。また、スマホやPCの“オンデバイス”で搭載され始めるなどスゴいスピードで進化を遂げています。

4月号のDIMEはそんなAIの仕事での活用をまとめた特集です。話題のマイクロソフト「Copilot」など今すぐ使えるAIの実践的活用法をシーン別にまとめています。

企画書やプレゼンの構成、メールの返信、プロジェクト管理、データの整理、ブレストなど具体的な使用シーンと活用法を様々な識者に取材し、まとめています。

まさにこれ一冊で自分をアップデートできる一冊です!

実は今回は表紙もAIに作ってもらったり、誌面をAIを活用して作ってみるなど編集部としても実験的な試みを実践しています。

また第2特集ではマクアケ・中山社長、安芸高田市・石丸市長、沢口愛華さん、斎藤佑樹さん、神田伯山さん、モグライダー・芝 大輔さん、映像ディレクター 高橋弘樹さん、ベンチャー投資家・朝倉祐介さん、プロゲーマー翔さん、株式投資家テスタさんなどマンガ好き10名とDIME読者により仕事のモチベーションをアップしてくれる56冊を選出してもらいました。

役立つ情報が満載の4月号、是非お近くの書店などでチェックしてみてください。

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