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「圧倒的才能を前に木っ端みじんに。その挫折が背中を押す」講談師神田伯山さんに聞く、探求者の情熱に背中を押される名作マンガ5選

2024.05.03

講談師 神田伯山さん

心血を注ぎ道を究める。探求者の情熱に背中を押される名作

神田伯山さん2007年に三代目神田松鯉に入門し、2012年に二ツ目昇進。2020年に真打ち昇進とともに、六代目神田伯山を襲名する。TBSラジオ『問わず語りの神田伯山』ではラジオパーソナリティーとして絶大な人気を博している。

圧倒的才能を前に木っ端みじんに。その挫折が背中を押す

 独演会のチケットは即日完売。講談界の風雲児として、講談の普及の先頭に立つ神田伯山さんは、実は大のマンガ好きでもある。中学生の頃は当時大ヒットしていた『SLAM DUNK』の影響もあってバスケットボール部に所属。高校では森川ジョージのボクシングマンガ『はじめの一歩』にのめり込んでボクシングを始めた。そんな伯山さんが今回ビジネスパーソンのために挙げてくれたのは『まんが道』。中学生の時に読んだ作品のひとつだという。

 藤子不二雄Aと藤子・F・不二雄をモデルにした二人のマンガ少年がプロへの道を歩む姿を描いた青春譚で、日本のマンガ黎明期の熱気が伝わってくる自伝的長編作品である。

『新装版 まんが道』Ⓒ藤子スタジオ

「『忍者ハットリくん』や『怪物くん』など、それまで当たり前に触れていたものの前世の記憶を見たような、作品が生み出される前をのぞく不思議な体験が味わえます。1巻で、Ⓐ先生の投影である満賀道雄が、後のF先生こと才野茂の才能に木っ端みじんに圧倒されるシーンがあります。私はこの場面がとにかく好きなんです」(上のコマがそのシーン)

 志を持ち、マンガの道を進んでいく満賀と才野の姿は、講談の道を邁進する伯山さんと重なる。

 もうひとつ同作品の好きな場面として挙げてくれたのが、ラーメンを食べるシーン。上京した2人はトキワ荘で暮らすことになる。昭和を代表するマンガ家たちが若手時代に暮らした木造2階建てのアパートだ。そのすぐ近くにあったお店『松葉』のラーメンを一口食べて、「ンマーイ!」と言うセリフは、この作品で外せない場面となっている。

「松葉は令和の現在でも営業しています。私も聖地巡礼で店を訪れて、実際に『ンマーイ!』をやりました。あれには感動したなァ。私もまんが道ならぬ〝こうだん道〟を歩んでいこうと気持ちを引き締めました」

『新装版 まんが道』Ⓒ藤子スタジオ

『風雲児たち』のエピソードは新作講談の題材にもしたい

 講談というと、張り扇で講釈台を打ちながら昔からある話を読み進めるイメージが強いかもしれないが、実は新作も多い。伯山さんも新作を創作し世に送り出してきたが、その題材のヒントもマンガに隠されているという。

「みなもと太郎先生の『風雲児たち』は、ギャクマンガを骨子にしている歴史物の超傑作。とにかくわかりやすくておもしろいし、人間の情熱というのが遺憾なく発揮されているので、歴史が苦手な人にこそ読んでほしいです。特に好きなエピソードは濃尾平野にまたがる木曽三川の治水工事を題材にした『宝暦治水伝』。この工事を担った薩摩義士の話は、講談の題材にもしたくなりました」

 徳川幕府が薩摩義士を壊滅させるべく仕掛けた宝暦治水工事。その費用は薩摩が持ち、幕府が決めた工事内容に口出しも許されない状況で、薩摩義士は濃尾平野の治水工事を行わなければならなかった。命をかけて工事を行なうが、度重なる試練と幕府への恨みで切腹をする者が続出していく──。

 話を聞きながらその史実を深く知り、歴史の知識も学ぶことができる。確かに講談にぴったりだ。

 現在、伯山さんは『モーニング』で連載中の講談師マンガ『ひらばのひと』の監修も務めている。

「講談師のマンガは珍しいと思いますので、とにかく間違いのないように気をつけ、細部に神が宿る気持ちで監修させていただいています」

 モチベーションを高め、創作意欲をかき立てるものとして、マンガが重要な役割を果たしている。

『風雲児たち』©みなもと太郎/リイド社

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