2月13日に一時150円89銭近くまで達したドル円だが、今後はどのような推移が予想されるのだろうか?
三井住友DSアセットマネジメントはこのほど、同社チーフマーケットストラテジストの市川雅浩氏がその時々の市場動向を解説する「市川レポート」の最新版として、「ドル円相場の方向性を再考する」と題したマーケットレポートを公開した。レポートの内容は以下の通り。
ドル円は米早期利下げ観測の後退と日銀政策修正への警戒緩和を背景にドル高・円安が進行
2024年のドル円相場は1月1日に1ドル=140円92銭水準で取引が始まり、同日に140円82銭付近まで小幅ながらドル安・円高が進行した。
しかしながら、それ以降はドル高・円安方向に流れが転じ、ドル円は2月13日に一時150円89銭近くまで達し、2022年10月21日につけた151円95銭水準や、2023年11月13日につけた151円91銭水準をうかがう展開となった。
年初からドル高・円安が進んだ主な要因として、1つは直近の米経済指標で予想を上回る雇用と物価の伸びが確認され、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利下げ観測が後退したことがあると思われる。
もう1つは、日銀の内田副総裁が2月8日の講演で、マイナス金利解除後、「どんどん利上げをしていくようなパスは考えにくく、緩和的な金融環境を維持していくことになる」と述べ、政策修正への過度な警戒が緩和したことが考えられる。
市場で米利下げの織り込みは年3回に減少、ここからの回数増減は米雇用や物価の内容次第に
特に米早期利下げ観測の後退は、ドル高要因としてドル円に大きく作用したと推測される。
図表1は、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む2024年の利下げ回数とドル円レートの関係を示したものだが、利下げ1回の織り込み減少で2円61銭ほどドル高・円安が進むことが示唆されている。
利下げの織り込み回数は、年初の6回から直近は3回まで減少したため、約7円83銭のドル高・円安要因と判断される。
ドル円の方向性は、当然ながらFF金利先物市場における利下げの織り込み回数だけで決まるものではないので、1つの目安ということになるが、ここから利下げの織り込み回数がさらに減少すればドル高・円安方向に、再び増加すればドル安・円高方向に、相場が動く可能性は高いと思われる。
そして、先行きの織り込み回数の増減は、今後発表される雇用や物価に関する米経済指標の内容次第となる。