辻󠄀調理師専門学校、辻󠄀製菓専門学校は同校に在学する留学生を対象に、なぜ留学先に日本を選び、どのような展望を描いているのか、などのアンケート調査を実施。回答結果をグラフにまとめて発表した。
ちなみに留学生の内訳は、日本料理や西洋料理、中国料理が学べる「辻󠄀調理師専門学校」に188名、洋菓子や和菓子、製パンなどが学べる「辻󠄀製菓専門学校」に122名。
国別では、韓国159名、中国66名、台湾45名と上位3か国はこれまでと変わらず、アジア圏を中心に計12か国から来日している。
また日本での就職を希望する留学生は全体の65.4%で、ビザが拡張された2019年以降は就職率も増加。同校では2024年1月末時点で、84名(全体の27%)の学生が就職内定を獲得したと説明している。
日本留学の決め手は「日本の食・文化への興味」「技術力の高さ」
留学先に日本を選んだ理由として、料理・菓子を学ぶ学生の間で、例年同じように志向の違いが出るのは興味深い結果だ。
決め手となった上位3つは両者とも日本の食や文化への興味と技術力の高さで、日本で学んだ先に、日本での就職を考えているようだ。
また、菓子を学ぶ学生においては日本の菓子が好きで、多様な種類があることも魅力になっていると推察できる。
■学びたいジャンルの1位は「日本料理」、「洋菓子」人気は減少傾向か?
留学生が学びたい料理・菓子ジャンルの1位は45.9%の「日本料理」で、「日本料理は世界で高級料理として地位が高いから」「気候や海洋環境の変化に日本の調理技術を活かせると思ったから」「日本料理を勉強するために日本に来たから」などの選択理由があげられた。
「中国料理」においては「中国北部の出身で四川料理や広東料理に触れる機会がないため、日本で学ぶことができてうれしい」という大変興味深いコメントもあった。
「洋菓子」は前年度の28.2%から9.2ポイントダウンし、5年前の人気から考えると減少傾向にあると言える。一方で「製パン」の人気は徐々に上がっており、アジア圏での日本の“菓子パン”人気が後押しになっているとも考えられる。
また新入生だけの集計では、「和菓子」が12.0%と製パンよりも人気があり、洋菓子にも迫る結果となった。選択理由には「入学してから和菓子の知識を得て興味を持つようになった」「小さな和菓子の中で多彩な表現ができる」などがあげられていた。
和菓子コンクールでは留学生の受賞も増えてきており、ますます関心が高くなると予想される。
■将来的に「自分の店を持つ」と希望する学生は過去最高の73.5%に
日本での就職を希望する留学生は65.4%と昨年より3.4ポイントアップし、「まだまだ日本で経験を積みたい」「自分の技術をもっと磨きたい」と希望するコメントが多く見られた。
就職先を選ぶ基準については、料理・菓子を学ぶ学生に差異はあるものの、「自身のキャリアアップにつながるかどうか」が最も重要視され、次いで「店の知名度」「職場内での人間関係」があげられた。
料理を学ぶ学生にとっては、「シェフが魅力的である」ということも大きなポイントとなっているようだ。
また留学生においては、もともと独立志向が強い傾向にあったが、今回のアンケート調査で「将来は自分の店を持つ」と回答した学生は過去最高の73.5%となっている。
アンケート調査概要
対象/辻󠄀調理師専門学校、辻󠄀製菓専門学校に在学している留学生310名
期間/2024年1月16日~1月22日(7日間)
方法/ WEBアンケート
有効回答数/257名 (回答率82.9%)、うち新入生125名
構成/清水眞希