先日から新たなNISA制度(新NISA)がスタートしたが、この機に株式投資に取り組もうとする⼈も多いはず。そこで、トレジャープロモートが運営するオンライン株式スクール「株の学校ドットコム」では、全国の株式投資に取り組む20〜70代の男⼥に新NISAの投資⽬標や株式投資に取り組む理由などについて、アンケート調査を実施。回答結果をグラフにまとめて発表した。
新NISAでの投資⽬標は5年後までの回答が最多
本調査を⾏った2024年1⽉16⽇時点で、すでに新NISAを「利⽤している」と回答した⼈は45.4%、「今後、利⽤する予定」と答えた⼈は47.6%で、合計すると9割を超える93.0%に達した。
では、実際に新NISAを活⽤する⼈たちは、どんな資産形成を⽬指しているのか。新NISAを「利⽤している」「今後、利⽤する予定」と回答した744⼈に、新NISAでどれくらいの資産を作りたいと考えているかについて、「いつまでに、いくら」の形式で⾃由記述してもらった。
すると、「いつまでに」については、5年までの期間での回答が最も多く、744⼈中301⼈となった。未記⼊などを除いた⺟数(732)に対する割合は41.4%で、その中には「短期」「夏(までに)」といった回答も⾒られた。
10年後までの回答とあわせると552⼈で、実に75.2%の⼈が、ここ数年間での資産形成を想定しているようだ。その⼀⽅で、「⻑期的な資産形成」として⼀般に想定される20年後、30年後といった期間での回答は多くなく、あわせて24.6%、4⼈に1⼈に留まっている。
■新NISAで作りたい資産は500万円がひとつの⽬標
続いて、新NISAで「いくら」の資産を作りたいと考えているかについては、500万円までの⾦額で回答した⼈が368⼈と、5割を超えて最も多くなった。
この中には、100万円までの⾦額を回答した⼈が、全体の2割近く142⼈含まれている。
500万円までの⾦額を回答した368⼈に、1000万円までの⾦額を回答した146⼈とあわせると、全体の7割超となり、新NISAでは⼤きな資産形成をイメージしていない⼈が多いようだ。ただ、これに対して、1億円よりも多い⾦額の回答をした⼈も40⼈いた。
■新NISAの⽬標は「5年後までに500万円」
前出の2つの回答をかけあわせて⾒てみると、新NISAを活⽤した資産形成について、「5年後までに500万円までの資産を作る」ことを⽬指している⼈が圧倒的多数であることがわかる。
この組み合わせで回答した⼈は202⼈で、未記⼊などを除いた⺟数(731)に対する割合は27.6%と3割近くになる。
さらに、これよりも少し幅を広げて「10年後までに1000万円までの資産を作る」という組み合わせの回答数を⾒ると425⼈、58.1%と6割近くとなった。
「⻑期的な資産形成」という新NISAが⽬指す⽅向性が広く周知されているのか、疑問符を付けたくなる結果と言えるだろう。
■新NISAでの投資⽬標は若い層ほど短期
新NISAの制度⽅針と個⼈投資家の思惑との乖離がより顕著に現れたのが、新NISAを活⽤した投資期間についての回答を年代別に⾒たデータだ。
⽼後を⾒据えて⻑期にわたる資産形成が求められるはずの20代・30代ほど、5年後まで・10年後までを想定している⼈が多いことが、前掲のグラフからもよくわかる。
40代になると20年後まで、50代では10年後までの回答が多いことは、定年までの時間で⽼後資⾦を作りたいという意向からと考えられる。
ただ、60代・70代になってからも10年後までを想定している⼈が⼀定数いることからわかるように、「⽼後」の期間はますます⻑くなっており、より⻑期的な視点が求められている。
■株式投資で得たいのは「いま必要なお⾦」
新NISAの活⽤について、このように、より短期間での資産形成を⽬指すという回答が多く得られたことには、実は、納得できる背景がある。
今回のアンケート調査は、実施時点ですでに「株式投資に取り組んでいる」と回答した⼈を対象にしているが、2024年の投資⽅針(新NISAに限定しない)として「あなたが株式投資に取り組む最も⼤きな理由は何ですか?」と質問したところ、「⼈⽣100年時代を⾒すえた⽼後資⾦を準備するため」と並んで、「⽣活に使えるお⾦を増やすため」がトップの回答数(241⼈/30.1%)を獲得している。
これは、先々の⽼後資⾦と同じくらい、いま必要なお⾦について思いを巡らせている⼈が多いことの現れと考えられる。
その傾向は年代が低いほど明らかで、20代・30代では株式投資に取り組む最⼤の理由として「⽣活に使えるお⾦を増やすため」を選んだ⼈が4割近くになり、他と⽐べても圧倒的に多くなっている。
株式投資は⽬的にあった選択が重要
NISAは、⻑期的な資産形成を⽬指すための制度だ。⾦融庁が作成した資料でも、20年にわたって積み⽴て投資をした場合のシミュレーションが⽰されているとおり、⻑い時間をかけて積み重ねていくことを前提とした制度設計になっている。
しかしながら、多くの個⼈投資家はより短期間での成果を求めており、それは、⽼後の⼼配と同じくらい、いまの⽣活への不安があるからではないか。
そうしたニーズのもとに選ぶ⼿段として、新NISAを活⽤した⻑期投資がふさわしいのか、制度の意義とメリットに対する⼀層の理解が必要と思われる。
株式投資には様々な⼿法があり、じっくりと時間をかけて資産を育てるNISA向きのスタイルもあれば、より短期間のうちに⼤きな資産を築くことのできる⽅法もある。
それは短期トレードと呼ばれる⼿法で、⻑期の投資とはまったく違う、例えるなら野球とサッカーほど異なるものだ。
株式投資は、⾃分の判断で資産を築いていく道。⻑期投資がいいのか、短期トレードが向いているのかは、⼈それぞれだが、どちらか⼀⽅だけを選ぶ必要もない。
新NISAを活⽤して⻑期にわたる資産形成を進めながら、いまの⽣活に必要なお⾦は短期トレードで稼ぐ、ということも可能だ。
いずれにせよ、株式投資について正しい知識とスキルを⾝につけ、⾃分⾃⾝にふさわしい選択をすることが何よりも⼤切になる。
調査概要
調査内容/株式投資 2024年の投資⽅針調査
調査⽅法/インターネット調査
調査対象/株式投資に取り組む20歳以上79歳以下の男⼥800⼈
調査⽇ /2024年1⽉16⽇
構成/清水眞希