グラビアアイドルの最前線を駆け抜けている沢口愛華さんは無類のマンガ好きとして知られる。沢口さんは15歳という若さでブレイク後、厳しい芸能界の中で勝ち抜き、そして昨年には事務所の移籍という大きな転機を迎えた。そんな彼女を支えてきた、マンガから得た人生を豊かにする考え方とは。
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DIME2024年 4月号
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弟が〝布教〟してくれたマンガにハマりました
数々の雑誌の表紙を飾り〝令和のグラビア女王〞とまで呼ばれるほどひっぱりだこな沢口愛華さんは、幼少期からマンガとともに育ってきた。
「初めて読んだマンガは『黒子のバスケ』。当時は小学4年生で、所属していたバスケットボール部で流行っていたのがきっかけです。スタメンの部員が作品の登場人物と役割や人柄が被っていることが多くて、応援歌に『キセキの世代』ってワードを入れるほどみんなでハマっていました」
今では電子版で読むことが多く、もっぱら移動中などのスキマ時間でスマホのアプリで読むそうだ。
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「保存したデータのサイズが気づいたら数十ギガバイトになっていて、スマホの容量を圧迫しちゃってます(笑)。ただ、いつかサービス終了とともに、集めてきたデータが消えちゃうんじゃないかって不安があって怖いんですよね。だから、手元に置いておきたい作品は単行本を買っています。電車の中で買った本を持ち運ぶのは大変なんですが、そういう手間も含めてコレクターみたいな気持ちで楽しんでいます」
沢口さんが新しいマンガを読むきっかけの一つに、2歳下の弟の存在がある。
「貸してくれた『GANTZ』が面白くて、続きが読みたくなって弟の部屋に入り浸る、みたいなこともありました。今でも面白いマンガやアニメについて連絡を取り合っています」
「何度でも決断していい」そう思えるようになった
沢口さんは2023年9月、それまでの事務所からホリプロへ移籍するという決断をした。しかし、本当はグラビアを含めて芸能界を引退し、普通に働こうと考えていたという。
「そんな時、今の事務所の方が『可能性がたくさん広がっているのにもったいない。芸能を続けてみないか』と声をかけてくださって、迷いました。そこで背中を押してくれたのがマンガでした」
そのひとつが『宇宙兄弟』のワンシーンだった。
「NASAの偉大な宇宙飛行士・エディの『〝決定〞なんて何回したっていい』という言葉にハッとさせられました。
自分の価値観って、年を重ねたり環境が違ったりすると変わるじゃないですか。でも世間の求めるグラビアアイドルとしての『沢口愛華』は一貫性がなきゃダメだと思っていて、ファンの皆様が抱いている理想の沢口像を維持できるか悩んでいました。そんな時にエディのこのセリフに出会って『いい方向に進むためなら、何度でも決断していいんだ』と思えるようになりました」
心を揺さぶられるセリフが、何気ない流れに散りばめられているのが『宇宙兄弟』の良さだと沢口さんは語る。
「名言が名言としてそのシーンにいるんじゃなくて、あくまでも物語の流れの中に自然といるのが良いんですよね。最初に読んだ頃は、成功体験がポンポンと生まれるサクセスストーリーの気持ちよさに面白さを見出していたんですが、読み返すたびに新しい発見がある。読めば読むほど面白い、スルメみたいな作品です」
■沢口さんオススメ作品(1) 宇宙兄弟 小山宙哉 講談社 既刊43巻
将来、宇宙飛行士になることを誓い合った南波六太と弟の日々人。19年後、日々人は夢をかなえ宇宙飛行士になった一方、六太は勤務先の会社をクビになっていた。そんな六太のもとに、JAXAの宇宙飛行士選抜の書類審査通知書が届いたことから、兄弟で再び宇宙を目指す。