3月3日はひな祭り。女の子がいる家庭では、雛段の上に雛人形を飾ってお祝いをするのが古くから桃の節句の伝統的な習わしでした。
しかし近年では七段飾りはすっかり珍しいものになり、インテリアとしてさりげなく飾れるモダンでコンパクトな雛飾りが好まれる傾向に。
そこで今回は、日本人のライフスタイルの変化に合わせて移り変わってきた雛人形の歴史と、インテリアに溶け込む今どきの雛人形を紹介します。
雛人形の今、昔
諸説ありますが、現代のひな祭り(桃の節句)の形は、日本古来の風習と川や水で穢れを払う中国の「上巳節」と呼ばれる儀式が混ざりあってできたといわれています。
古くは奈良時代から行われていたといわれる日本の「人形(ひとがた)」の文化は、紙や植物で作った人型の依り代に厄災を身代わりしてもらうものでした。そのうちに中国から伝わった上巳節と結びつき、自分の身代わりに人形を川に流して払うまじないの儀式へと発展していったといいます。
川流しの風習は現在も行っている地域があり、「流し雛」という呼び名で伝統行事になっています。ちなみに「雛人形」という言葉のルーツは、平安時代貴族の子女たちの間で流行した「ひいな(お人形)遊び」と呼ばれるままごとだといわれます。
現在の形に近い雛人形が流通しはじめたといわれるのは、江戸初期頃。この頃から人形作りの技術が発展し、精巧で艶やかな雛飾りが登場するようになりました。皇族の結婚式をモチーフに作られはじめたのもこの頃だとされています。
その後、段飾りの雛人形は一般家庭にも広まり、長く親しまれていました。
しかし平成後期頃からは日本の住宅事情やライフスタイルが急激に変わり、大きな雛人形を出すスペースがない、出したりしまったりが面倒、という理由で飾らない家庭が増えはじめました。
ベネッセ教育情報サイトが2014年に調査したアンケートによると、雛人形があっても毎年は飾らないという人は全体の24.7%いるのだとか。
※参考:ひなまつり、約25%がひな人形を持っていても「毎年は飾らない」理由は?|ベネッセ教育情報サイト
そんな日本のライフスタイルの変化に合わせて2000年代から登場しはじめ、トレンドになっているのがモダン雛人形です。
今風のくすみカラーの着物をまとったものや、白色一色のもの、木やガラス、アクリルで作られた工芸品のようなものなど、デザインも様々。なかでも、飾るのもしまうのも手軽で、コンパクトな親王飾り(男雛と女雛=「お内裏様」だけの雛人形)タイプは人気の傾向です。
今や大手人形メーカーや木製品メーカーなどからもおしゃれでコンパクトな雛人形が続々登場し、「本当は飾りたいのに飾れなかった」という親世代のニーズを捉えているといるのです。
モダンでおしゃれな雛人形SNSの実例集
さて、ここからは今風のモダン雛人形が素敵なSNSアカウントの実例をご紹介します。
全体のコーディネートや、センスの良いディスプレイアイデアにもぜひ注目してみてください!
■透明感と細工が美しいガラス雛
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<asumi(@cuppy416)さんのインスタグラム投稿より>
1つ目にご紹介するのは、透明感が美しいガラス製の雛人形。可愛らしい見た目ながら芸術作品のような細かい細工に見惚れてしまいます。
日の光でキラキラ輝くガラスは華やかで、木のぬくもりを感じるインテリアのポイントになりますね。小さな器に添えられた雛あられや一輪挿し、木製の名前札など、小物のセンスの良さにも注目です。
タイプ…親王飾り(平飾り)
主な素材…ガラス
温かみのある木製二段雛
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2つ目にご紹介するのは、コロンとした姿に温かみを感じる木製二段飾りです。
こちらは木工クラフトや木製玩具なども手掛ける三浦木地さんの作品ということで、お花やぼんぼりなどもすべて天然木製。着色はせず、木本来の色合いを活かして小さな子供が舐めてしまっても安全な仕上げが施されているそう。
木製の雛人形は北欧調やナチュラルスタイルにもマッチするのでおすすめです。サイズ感も丁度よく、インテリア雑貨として年中飾っておきたくなる可愛らしさですね。
タイプ…二段五人飾り
主な素材…木
インテリアに溶け込む異素材MIX雛
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<aika(@_aikalice)さんのインスタグラム投稿より>
3つ目にご紹介する雛人形は、木とレザーの異素材を組み合わせた珍しい親王飾り。トーンの違う淡いベージュのワンカラーで、モダンにもナチュラルにもマッチするさりげなさが素敵です。
近年は部屋や廊下の壁にニッチを設ける家庭が増えていますが、こちらはそのニッチに雛人形を飾るというなんともおしゃれなアイデア。コンパクトタイプならではのディスプレイになっています。
タイプ…親王飾り(平飾り)
主な素材…木、レザー
■上品なアンティーク調の立雛
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4つ目にご紹介するのは、アンティーク調でシックな雰囲気の立雛です。凛とした立ち姿がかっこいい立雛は、実は雛人形のスタイルとしては座り雛より歴史が古いものなのだとか。
立雛の場合、基本的には親王飾り(平飾り)になりますが、高さの分見栄えがあるので存在感は十分。優しい色合いの「時代裂」の着物で着飾った姿は、洋風インテリアにも合わせやすいクラシカルな上品さを醸し出しています。
タイプ…立雛