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NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(以下NTTコム オンライン)から、ネット専業型旅行会社を対象としたNPSベンチマーク調査2023の結果が発表された。本稿では、その概要をお伝えしていく。
NPS(Net Promoter Score)とは、「友人や同僚に薦めたいか?」という質問への回答から算出される、顧客ロイヤルティを測る指標。欧米では公開企業の3分の1がNPSを使用しているといわれ、日本においても顧客満足度にかわる新しい指標として、NPSを活用する企業が増えているという。
ネット専業型旅行会社部門のNPSおすすめランキング1位は一休.com
対象のネット専業型旅行会社8社のうち、NPSのトップは一休.com(-1.5ポイント)、2位は楽天トラベル(-5.8ポイント)、3位はExpedia(-9.7ポイント)となった。
対象8社のNPS平均は-15.0ポイント、またトップ企業とボトム企業との差は29.1ポイントとなっている。
■ネット専業型旅行会社全体では、ニーズにあった旅行商品があることや、旅行プランのレコメンドの適切さがロイヤルティ醸成につながる
業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
業界全体のロイヤルティを醸成する要素としては、「自身のニーズにあった商品がある」や「コストパフォーマンスのよさ」といった自分のニーズに合致する旅行商品に関連する項目となった。
また、「旅行プランの提案・レコメンドの適切さ」や「サービスの信頼性・安全性」、「アプリの使いやすさ・わかりやすさ」といった項目もロイヤルティの醸成につながった。
一方でロイヤルティ向上のために優先的に改善が期待される項目としては、「期待や想像を超える商品がある」や「旅の質の高さ」といった項目となった。また、「企業イメージ・ブランドイメージのよさ」も改善が期待される結果が得られた。
NPSおすすめランキング1位となった一休.comは、「自身のニーズにあった商品がある」や、業界全体の課題項目となった「期待や想像を超える商品がある」、「旅の質の高さ」といった商品性の面で高評価になったことがロイヤルティ醸成につながった。
2位の楽天トラベルと3位のExpediaは「コストパフォーマンスのよさ」がロイヤルティ醸成につながったほか、楽天トラベルは「自身のニーズにあった商品がある」、Expediaは「期待や想像を超える商品がある」がそれぞれ評価されたことがNPS上位につながった。
■旅行会社から利用者のニーズや嗜好にあった情報を発信することがロイヤルティの向上に
旅行先の決定や旅行の計画にあたり利用している情報源
普段、旅行先を決めたり旅行の計画を立てるのにあたりどのようなところから情報を探しているか調査をしたところ、最も多いのは「家族や友人・知人からのお薦め」(34.4%)が最も高くなった。
次いで「旅行代理店・旅行関連サイトのホームページや特集ページ」(31.3%)、「旅行ガイドブックや情報誌」(24.3%)と続く。
旅行会社から提供される情報に対する自分のニーズへの合致度
旅行会社から提供される情報に対する自分のニーズへの合致度別NPS
該当の旅行会社から提供される旅行先に関する情報や、旅行プランの提案などが、自分のニーズや嗜好に合ったものになっているか調査したところ、「とても合っている」または「比較的合っている」と回答した利用者は60.3%だった。
また、これらの合致度別にNPSも分析したところ、「とても合っている」と回答した利用者のNPSは57.6ポイント、また「比較的合っている」と回答した利用者も他回答者に比較して高くなった。
利用者のニーズや嗜好にあった情報を旅行会社から発信することが、ロイヤルティ向上につながることが示唆された。
■公式アプリ利用者のNPSは高く、より自分のニーズや嗜好にあった情報を受け取っている
公式アプリの利用率
公式アプリの利用有無別NPS
対象企業においては公式アプリの提供を行っており、クーポンやセール、旅行情報に関する案内の発信や、現在地周辺での宿泊先検索や、予約した宿泊施設までのルート検索などの機能の提供を行なっている。
1年以内の公式アプリの利用状況について調査したところ、全体の26.9%が公式アプリを利用している結果となった。また公式アプリ利用有無別にNPSも調査したところ、公式アプリ利用者のNPSは4.9ポイントとなり、非利用者の-21.4ポイントを上回っている。
公式アプリ利用有無別にみた、旅行会社から提供される情報の自身のニーズへの合致度
該当の旅行会社から提供される旅行先に関する情報や、旅行プランの提案などが、自分のニーズや嗜好にあったものになっているか、公式アプリの利用有無別に分析をしたところ、「とても合っている」または「比較的合っている」と回答した利用者は公式アプリ利用者では69.6%となり、非利用者に比較して高くなった。
この結果から公式アプリを使って、利用者それぞれに合った情報を発信していくことの重要性が推察できる。
■該当の旅行会社の推奨度(友人や同僚におすすめできるか)が高いほど、継続利用意向も高くなる
推奨セグメント別継続利用意向
該当の旅行会社の利用者に対し、今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、 「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.4ポイント、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均7.9ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.8ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となった。
調査概要
調査対象企業・サービス(アルファベット順、50音順)/agoda(アゴダ)、Booking.com(ブッキングドットコム)、Expedia (エクスペディア)、Yahoo!トラベル、一休.com、じゃらんnet、楽天トラベル、るるぶトラベル
調査対象者/インターネットリサーチモニターのうち、上記ネット専業型旅行会社の利用者(1年以内)
調査方法/NTTコム リサーチ*による非公開型インターネットアンケート
調査期間/2024/1/18(木) ~ 2024/1/24(水)
有効回答者数/3270名
回答者の属性/性別:男性55.8%、女性:44.2% 年代/20代以下:12.1%、30代:14.3%、40代:23.4%、50代:21.5%、60代以上:28.8%
構成/清水眞希