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上場以来初の赤字に転落したバルミューダは復活できるのか?

2024.02.22

コロナ禍からの立ち直りで家庭料理に必要な道具は下火に?

エリア別の売上高を見ると、日本は2割の減収。韓国に至っては5割近い売上減となりました。

決算短信より筆者作成

日本の状況から見ていきます。

一般社団法人日本電機工業会によると、2023年における民生用電気機器の国内出荷額は、前年比1.1%減の2兆5,433億円でした。2年連続のマイナス。2020年はコロナ禍によって巣ごもり需要が発生しました。外食機会が失われ、自宅で調理する時間が増えました。調理家電を中心に国内の家電需要は盛り上がりを見せていましたが、反動減に見舞われているのです。

下のグラフは、Googleトレンドにて「ホットプレート」と「トースター」を調査したもの。Googleトレンドは、検索エンジン上で各月にどれほどの検索数があったのかを指数化します。最も検索が多かった月が100となります。

■ホットプレート

■トースター

※Googleトレンドで独自に調査

ホットプレートが特に顕著に出ていますが、2020年5月に検索数が増大し、その後緩やかに引いているのがわかります。2020年5月といえば、国内初の緊急事態宣言が出た翌月。いよいよ外出制限が厳しくなって日常生活ががらりと変わったタイミングです。

トースターはホットプレートほどわかりやすくはないものの、2022年を境にダウントレンドに転じています。

バルミューダが上場したのは2020年12月16日。話題を作りとしては最高のタイミングでした。

家電業界は機能売りが沸点を迎えており、安価な海外製品が流れ込んだこともあって価格競争が加速していました。そこに颯爽と現れたのがバルミューダで、企画力とデザイン力で付加価値をつけ、消費者の心をつかみました。

しかし、調理家電に領域を絞っていたがゆえに、需要減退の影響を真正面から受けてしまいました。

金利引き上げに動いた韓国経済の冷え込み

韓国もパンデミックの最中は家電市場が盛り上がりました。しかし、2022年からは反動減に襲われます。韓国産業通商資源省によると、2022年5月の家電部門の売上高は9.7%減少しています。

韓国経済は日本よりもやや深刻。過去3年の生活物価指数は13.7%も上昇。20%以上あがった品目は42に達したと報じられています。2021年は国際通貨基金通貨危機以降、初の物価上昇率6%を記録しました。

急速に進行するインフレを抑え込むため、韓国銀行は公定金利を引き上げました。それに伴って主要銀行の貸出金利は上がります。金利が上がれば消費者の購買意欲は低下し、家電などの高額な出費を抑えようという意識が高まります。

バルミューダは戦略的に韓国に進出し、百貨店などで販売しました。一時は大ヒットを引き起こしましたが、消費低迷というマクロ要因で減収を余儀なくされたのです。

1年で四半期の人件費を2割削減

バルミューダは自社工場を持たないファブレス企業です。製造は海外の工場に委託しています。それが赤字を拡大する要因にもなりました。急速に円安へと傾いたためです。

2022年12月期の原価率は68.9%ですが、2023年12月期は73.1%まで上がっています。

ファブレスは製品企画に注力できるという最大のメリットがあります。しかし、急速な円安というマクロ要因で、ネガティブ材料が目立つ結果となりました。

懸念点としては、赤字を抑制しようと人員削減を進めた結果、競争力が落ちないかということ。2023年4Qの人件費は3億200万円で、前年同期間比22.2%減少しています。

バルミューダは2024年12月期の売上高を前期比1.5%増の132億円、1億5,000万円の営業利益(前年同期は13億7,500万円の営業損失)を出すと予想しています。

売上高が横ばいで営業利益を出そうとしているのは、主に人件費を削減してのものでしょう。

バルミューダは、不採算のスマートフォン事業を素早く切り捨てるなど経営判断が早い会社。迅速に黒字転換はできるかもしれません。

ただし、人員整理を行う中でも、消費者から求められる製品を生み出し、再び増収への道筋をつけることができるか。ここが最大のポイントとなります。そのポテンシャルは十分に持っている会社であり、分水嶺に立たされているように見えます。

取材・文/不破聡

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